ディフェンシブ銘柄とは?概要や主な業種、メリット・デメリットについてわかりやすく解説

ディフェンシブ銘柄とは?概要や主な業種、メリット・デメリットについてわかりやすく解説

投資基礎知識

株式投資に興味を持っている、もしくはすでに投資している人の中には、「ディフェンシブ銘柄って何?概要や景気循環株と異なる点について知りたい。」 「ディフェンシブ銘柄の主な業種について知りたい。」 「ディフェンシブ銘柄のメリット・デメリットについて知りたい。」と思っている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、こうした疑問にお答えします。最後まで読んでいただければ、これらの悩みを解決できるでしょう。ぜひ最後までお付き合いください。
それでは解説を始めます!

ディフェンシブ銘柄とは

ディフェンシブ銘柄とは、市場が混乱している際でも株価の安定が見込める銘柄、つまり景気の影響を受けにくい銘柄のことです。景気が悪く、経済の見通しが不透明な場合でも、ディフェンシブ銘柄を保有していることでリスクを低く抑え、安定した利益を期待することができます。

このため、経済不況や金融危機などで市場が低迷している時に、リスクを避ける手段として投資家に注目されることが多いです。通常、景気が後退している時にはディフェンシブ銘柄の価値は市場全体を上回り、景気が拡大している時には市場全体を下回ることが多いです。

景気循環株との違い

ディフェンシブ銘柄とは異なり、株価が景気動向に影響を受けやすい銘柄を「景気循環株」と呼びます。景気循環株は、経済が好調な場合は株価が上昇し、逆に市場が低迷し、景気が後退した場合は株価が下落する傾向にあります。

景気循環株には、素材関連や製造業の銘柄が多く、たとえばダウ・ケミカルやBMWなどの化学メーカーや自動車会社がその例です。素材産業や製造業の場合、景気が好調だと多くの製品が売れるため、株価と景気動向が相関することが多いです。

ディフェンシブ銘柄の主な業種

ディフェンシブ銘柄には、一般的に以下のような業種が含まれます。各企業はそれぞれの特色を持っており、不景気時に強いビジネスモデルを持つ企業はディフェンシブ銘柄と呼ばれますが、以下の業種は特にディフェンシブ銘柄として認識されることが多いです。

  • たばこ
  • 警備
  • 鉄道
  • 道路などの社会インフラ
  • 医薬品・医療機器
  • 食料品
  • 電気・ガス

食料品や電気・ガスは人々の生活に欠かせないものであり、道路メンテナンスや医療といったインフラ系のサービスも景気が悪くても必要です。鉄道業界も、不況時には旅行者が減少して新幹線利用者が減る可能性はありますが、通勤などの移動手段としての利用はほとんど変わりません。警備サービスは、むしろ景気が悪い時に需要が高まることもあります。

たばこ業界は禁煙の流れが世界的に広がっているため、需要の増加は見込めないと思われがちですが、景気が悪くてもたばこを吸い続ける人が一定数いるため、ディフェンシブ銘柄として扱われます。

以上のように、不況時でも必要とされる、または需要が安定しているものがディフェンシブ銘柄とされます。一般的に、「内需関連株」がディフェンシブ銘柄になる傾向があります。

内需関連株とは、国内に事業基盤を持つ企業の株式を指し、国内の景気が好調な時にさらに業績が拡大することが期待される企業です。これに対し、海外での事業収益が重要になる業種の株式は「外需関連株」と呼ばれます。

ただし、上記の業種だからといって、すべての銘柄がディフェンシブ銘柄に該当するわけではありません。たとえば、「食料品」や「医薬品」の中でも、ジャスダックや東証マザーズに上場する「新興株」は大きな値動きをすることがあります。

こうした銘柄は、日経平均株価などの指数が下がった際に、一斉に売られることが多く、防御目的で購入する銘柄とは言えません。ディフェンシブ銘柄は、前述した業種であることに加えて、大きな時価総額を持つ大企業であることが重要です。

ディフェンシブ銘柄のメリット

ディフェンシブ銘柄には以下のメリットがあります。

低リスクで投資可能

低リスクで投資できる点がディフェンシブ銘柄の大きな魅力です。安定した需要のある事業内容を持つため、長期投資を検討している方におすすめの銘柄です。そのため、株価が一時的に変動した場合でも、価格を必要以上に気にする必要はなく、企業の収益性や健全性などの銘柄分析に注力できます。また、リスクが高い銘柄に投資している人にとっては、リスクを調整する手段としても効果的です。

高リスクの銘柄だけでなく、ディフェンシブ銘柄にも投資することで、リスクを分散し、全体のリスクを低減できます。リスクをできるだけ減らし、長期的に投資を行う場合には、ディフェンシブ銘柄が適しています。

配当金が高いことが多い

ディフェンシブ銘柄は、配当金が高いことが多いです。電力・ガス会社や鉄道といった業種では、配当利回りが高い傾向にあります。また、こうした企業は成熟期に入っていることが多く、成長期を過ぎた企業は成熟期に入り、成長率を高く保つことが難しいため、株主に利益の一部を配当として還元します。

このような理由から、ディフェンシブ銘柄は配当金が高いことが多いですが、企業が成熟期に入ると、将来の成長性は乏しくなり、大幅な値上がりは期待できないというデメリットもあります。ディフェンシブ銘柄は、景気が悪い時には防御力を発揮しますが、景気が好調な時には値動きが小さくなります。

ディフェンシブ銘柄のデメリット

ディフェンシブ銘柄には以下のデメリットがあります。

キャピタルゲインに大きな期待はできない

ディフェンシブ銘柄は値動きや業績が安定しているため、株価が短期間で急激に上昇することは基本的にありません。株価の変動が少ないため、キャピタルゲインを狙った投資には向いていません。

キャピタルゲインとは、売買差益のことです。たとえば、株価が10万円の銘柄を購入し、売却時に15万円になっていた場合、その差額である5万円がキャピタルゲインです。逆に、売却時に損失が発生した場合はキャピタルロスと呼ばれます。

株式を売買する際の差額で得られるキャピタルゲインの他に、配当金のように株式を保有することで得られる利益はインカムゲインと呼ばれます。

多少のリスクは存在する

ディフェンシブ銘柄は景気動向に左右されにくいため低リスクな投資先ですが、リスクが完全にないわけではありません。

景気動向に影響されにくいという特徴はあるものの、業界全体が揺らぐような出来事があったり、企業で不祥事が発覚したりした場合など、何らかの理由で株価が下落する可能性はゼロではありません。また、企業の成長が見込めない場合、長期的に見て株価が下落する可能性もあります。

低リスクであり長期投資に最適とはいえ、放置するのは避けましょう。ディフェンシブ銘柄に投資した後は、定期的に投資先が順調に成長しているか、将来的に成長が期待できるかを確認することが重要です。

必要がないと感じた場合は、必要に応じて株式を売却することも大切です。

景気敏感株との判断方法

株式投資では、複数の銘柄に投資する分散投資が重要です。配当金を安定的に獲得するためには、景気が不調な時でも好調な時でも配当金を得られるようにする必要があります。

つまり、景気が不調な時でも配当金を継続的に得られるディフェンシブ銘柄と、景気が好調な時に株価が上昇する景気敏感株の両方に投資することがおすすめです。そのためには、ディフェンシブ銘柄と景気敏感株を見分けて投資しなければなりません。

投資する銘柄がどちらに該当するかを把握することで、バランスの取れたポートフォリオを構築できます。ディフェンシブ銘柄と景気敏感株を判断する方法は以下の2つです。

  • ベータ値ごとに分類して判断する
  • セクターごとに分類して判断する

ベータ値ごとに分類して判断する方法は、銘柄をより細かく見分けることができます。

ベータ値ごとに分類し判断する

ベータ値は、市場動向に対してどの程度銘柄が影響を受けるかを示す指標です。ベータ値がTOPIXや日経平均などの指数と比べて大きければ、株価の変動幅も大きいため、景気敏感株と判断でき、逆にベータ値が小さい場合は、変動幅も小さいため、ディフェンシブ銘柄と判断できます。

このように、ベータ値を比較することで、景気敏感株かディフェンシブ銘柄かを判断できます。

セクターごとに分類し判断する

セクターは、株式市場を分析する際に分類されるグループのことで、各業種が景気敏感株かディフェンシブ銘柄かで区分されます。具体的な区分方法としては、「人々の生活に必要不可欠なサービスを提供している業種」はディフェンシブ銘柄、それ以外は景気敏感株に分類します。

ただし、この方法では事業を幅広く展開している企業を分類できないため、一概に判断できない場合があります。その際は、前述のベータ値を利用した判断方法を活用することが有効です。

まとめ

ディフェンシブ銘柄とは、市場が混乱している時でも株価の安定が見込める銘柄、つまり景気の影響を受けにくい銘柄のことです。ディフェンシブ銘柄とは異なり、景気動向に株価が影響を受けやすい銘柄を「景気循環株」と呼びます。

ディフェンシブ銘柄は、低リスクで投資できることや、配当金が高いことが多いというメリットがあります。一方で、キャピタルゲインに大きな期待はできないことや、多少のリスクが存在するというデメリットもあります。

そのため、ディフェンシブ銘柄に興味がある、または取引を考えている方は、ディフェンシブ銘柄の概要やメリット・デメリット、判断方法について十分理解した上で検討することが重要です。

この記事を書いたライター

Action Hub編集部

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