投資基礎知識
FIRE(Financial Independence Retire Early)という言葉は、経済的自立と早期リタイアを象徴する現代の投資戦略として広がりを見せています。
多くの人が「億万長者のみが早期リタイアできる」と考えがちですが、FIREはその概念を覆し、普通のサラリーマンでも目指せるものです。
当記事では、FIREの基本から必要な資金、具体的なメリットとデメリット、さらには成功へのステップまでをわかりやすく解説していきます。
あなたも、FIREを通じて自由で豊かな未来を手に入れましょう。
FIREとは
FIREとは、英語の「Financial Independence, Retire Early」を略した言葉で、経済的自立と早期リタイアを意味します。早期リタイアと聞くと、成功した億万長者が仕事を辞め、積み立てた資産を少しずつ取り崩して自由な生活を送るというイメージを持っている方が多いでしょう。
しかし、FIREにおける早期リタイアは、この考えとは異なるため注意が必要です。FIREが示す早期リタイアは、生活の支出を削減してその分を投資に回し、投資からの収入を得ながら実現するものです。
例えば、投資からの配当による不労所得が年間の生活費を上回る場合、資産は減少せずに生活が続けられます。つまり、仕事を辞めても生活を維持できるというわけです。
億万長者になって早期リタイアするのはごく一部の人に限られますが、FIREであれば、莫大な富を築かなくても早期リタイアが可能です。普通のサラリーマンでも十分に実現可能なため、近年注目を集めています。
FIREを実現すると、精神的な自由が得られます。日々の生活のために嫌な仕事を続ける必要はなく、働く場合も自分がやりたい仕事を選ぶことができます。
住む場所にも縛られず、趣味や家族との時間を増やすことができるため、FIREを達成することで本当にやりたいことに時間を費やせるようになります。
FIREの実現に必要なお金
FIREに必要な資金は、「4%ルール」に基づいて算出されます。このルールを理解し、現実的に達成可能なFIREの種類を把握しましょう。
FIREの実現には、働かずに収入を得る不労所得が不可欠です。つまり、生活費を上回る不労所得を得ることで、FIREが実現できます。
不労所得を得る方法はさまざまですが、専門的なスキルがなくても誰でも得られる手段として、株式などの運用による利益があります。FIREのために必要な資金は、1年間の生活費を25倍した金額です。
例えば、年間300万円の生活費が必要な場合、FIREを実現するためには7,500万円の投資資金が必要です。前述の4%ルールに基づき、年4%で資産を運用し、その運用益を生活費に充てれば、資産は減少しないという計算が成り立ちます。
サイドFIREの選択肢も
FIRE以外に、サイドFIREも注目されています。サイドFIREとは、生活費の大部分を資産運用から得る一方で、労働収入も確保するスタイルのFIREです。
例えば、資産収入で基礎的な生活費を賄い、労働収入で娯楽費用を稼ぐという形です。この労働収入は、アルバイトでも自営業でも好きな仕事で構いません。
FIREに比べて、サイドFIREは必要な資産が少なくなります。FIREでは、生活費を全て資産収入で補いますが、サイドFIREでは労働収入もあるため、必要な資産はFIREの半分程度で済みます。
FIREのメリット
FIREのメリットについて、詳しく解説します。
自由な生活を送れる
FIREを実現すれば、その後は働くかどうかを自分で選ぶことができます。例えば、週に1〜2回、自分が働きたい時だけ働くことも可能です。
時間に余裕ができるため、趣味や家族との時間に費やしたり、自分の好きなことに自由に時間を使うことができます。
好きな場所で生活できる
FIREを達成すると、仕事の都合を考慮せずに好きな場所で生活することができます。会社に勤務していると、通勤を考慮しなければならず、居住地が限定されがちですが、FIREを実現すれば自分の好きな場所で生活することが可能です。
新たなことに挑戦できる
自由に使える時間が増えるため、その時間を使って新たなことに挑戦することができます。労働しながら新しいことに挑戦するのは難しいですが、FIREを達成すれば、未開拓の分野に挑戦する時間が得られます。新しい趣味に挑戦するのも良いですし、新しいスキルを習得するために勉強することもできます。
FIREが達成できた場合、自由に使える時間がたくさんあるため、未開拓の分野に挑戦できます。
新しい趣味に挑戦してみても良いですし、これまで経験したことのない仕事について勉強し、新たなスキルを習得するのも自由です。
節約志向を身に付けられる
FIREを達成するためには、ある程度の資産を準備する必要があり、そのために節約を意識することが求められます。FIREを実現した後も、自分が設定した生活費の範囲内で生活を送る必要があるため、節約が非常に重要です。
ただし、ストレスが溜まるような節約方法は続きません。無理なく続けられる節約手段を理解することがポイントです。
例えば、過度な外食を控えたり、保険や電気代を見直すなど、無駄な支出を減らすことでお金を上手に使えるようになります。お金をできるだけ使わないという考えではなく、無駄を省くことが重要です。
FIREのデメリット
FIREのデメリットについて、詳しく解説します。
再就職が難しい
FIREを達成した後は、キャリアが途切れるため再就職が難しくなる可能性があります。企業が中途採用を行う場合、ほとんどが即戦力として貢献できる人材を求めています。そのため、長期間働いていないと、過去に蓄積した経験が活かせなかったり、年齢の高さから敬遠されることがあります。
このような事態を防ぐためには、サイドFIREを選びキャリアを続けるか、FIRE後もスキルを向上させ、再就職の準備をしておくことが重要です。
年4%で運用できない可能性がある
FIREでは、株式などの投資によって年4%の運用益を得ることが前提とされています。しかし、投資にはリスクがあり、年によっては年4%の運用益を確保できないこともあります。年4%の運用益は米国の過去の状況を基にした数値であり、日本の現状に必ずしも一致しているわけではありません。
投資に関する十分な知識や経験がない場合、FIREで生活するのは難しいでしょう。
突然の出費で継続できない可能性がある
FIREを実現するためには、年間の生活費を25倍した資産が必要とされていますが、その時期の人生設計や生活状況に基づいて計算されたものです。しかし、将来的にどのような出来事が起こるかは予測できません。例えば、子どもが海外留学を希望したり、家族や自分が病気になったりすることで、予定していた支出が大きく変わる可能性があります。
そのような事態に備えて、余剰資金を確保することは簡単ではありません。
年金が減る可能性がある
将来受け取る年金額は、これまでに保険料を支払った期間によって変わります。FIREで会社員を早期退職し、厚生年金の支払い期間が短くなると、将来の年金額が減少する可能性があります。FIREを達成する前に、将来受け取る年金額をシミュレーションしておくことをお勧めします。
FIREを達成する手順
FIREを達成する手順は、以下の通りです。
1. 目標金額を設定する
まずは、FIREを達成するための目標金額を設定します。この金額は、自分がFIRE後にどのような生活を送りたいかによって異なります。例えば、地方で生活する場合と都市で生活する場合では必要な金額が異なるでしょう。
具体的な金額の設定には、前述の4%ルールが役立ちます。まずは年間の生活費を算出し、それを25倍することで目標金額を導き出します。
2. 節約して貯金する
目標金額を設定したら、次に節約して貯金を行います。FIREを達成するためには、日々の支出を削減し、その分を貯蓄に回す必要があります。
節約にはさまざまな方法がありますが、最も効果的なのは固定費の見直しです。例えば、保険やスマートフォンの料金プランを見直したり、無駄なサブスクリプションサービスを解約することで、毎月の支出を大幅に削減できます。
3. 資産を運用する
貯金がある程度貯まったら、それを元手に資産運用を開始します。FIREを達成するためには、資産運用が不可欠です。資産運用にはさまざまな方法がありますが、初心者におすすめなのはインデックスファンドへの投資です。
インデックスファンドは、株式市場全体の動きを反映する投資信託で、リスクを分散しながら資産を増やすことができます。
4. サイドFIREを目指す
資産運用を行いながら、同時にサイドFIREを目指すのも一つの方法です。サイドFIREは、生活費の大部分を資産運用から得る一方で、労働収入も確保するスタイルです。これにより、FIREの達成が難しい場合でも、労働収入を補うことで目標を達成しやすくなります。
FIREの達成に向け実践すべきこと
FIREの達成に向け実践すべきことは、以下3つです。
支出を抑える
収入が不足している場合、最も簡単に着手できるのが支出を抑えることです。
FIREを実現するには、地道に倹約していくことが重要です。
あまり使わない車を所有していないか、家の家賃が無駄に高くないか、不要な保険やサブスクリプションに加入していないかなど、無駄な支出がないか生活を見直しましょう。
副業で収入を増やす
サイドFIREを達成した後に収入を得る手段の一つとして副業があります。
YouTubeやブログ運営による情報発信で、広告収入を得る副業が主流になっています。
月に100万円稼ぐことは難しいですが、月に3~5万円であれば努力次第で達成できるでしょう。
前述したように支出を減らすことで投資に回す資金を増やすことも可能ですが、副業で収入を増やし、その分を投資に回すのも一つの手段です。
年利の高いものに投資する
年利の高いものに投資することも重要なポイントです。
投資で得られる年利は、投資先や投資の種類によって異なるため、できるだけ大きな利益が得られる投資先を常に探しておきましょう。
ただし、一般的に、仮想通貨やFXなどの高リターンが期待できるものは、リターンが大きい分、リスクも大きいため注意が必要です。
投資元本を減少させないことを最優先に考え、できるだけリスクを抑えながら、年利が高いものに投資するよう心がけましょう。
まとめ
FIREは、英語の「Financial Independence Retire Early」を略した呼び名であり、経済的自立と早期リタイアを意味します。
FIREで準備すべき金額は、年間に必要な生活費の25倍です。
FIREのメリットには、自由な生活を送れること、好きな場所で生活できること、新たなことに挑戦できることなどがあります。
その一方で、再就職が難しいことや、年4%で運用できない可能性があること、突然の出費で継続できない可能性があることがデメリットです。
FIREに興味があり、投資でFIREを実現したいと思っている方は、FIREの概要や達成に必要な資金、メリット・デメリットなどについて、しっかりと理解した上で検討することが大切です。
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