GPIFとは?存在意義やポートフォリオ、投資で活用する方法についてわかりやすく簡単解説

GPIFとは?存在意義やポートフォリオ、投資で活用する方法についてわかりやすく簡単解説

投資基礎知識

年金に不安を抱いている、もしくは年金対策で投資をはじめようか検討している人の中で

「GPIFって何?」
「GPIFの存在意義や年金を増やす理由について知りたい。」
「GPIFのポートフォリオや投資で活用する方法について知りたい。」

このように思われている人も多いのではないでしょうか?

当記事ではこのような悩みを解決していきます!
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

それでは解説していきます!

GPIFとは

GPIFは、「Government Pension Investment Fund」の略称であり、日本語で「年金積立金管理運用独立行政法人」を意味します。
名前からも分かるように、年金積立金を管理・運用する独立行政法人のことです。

公的年金の「国民年金」は、現役の世代が支払った年金保険料の中から、年金支払い等で使われなかった分が、将来の世代に向け積み立てされる仕組みです。
年金保険料と納めた支払い保険料を差し引いた分が、これまでの年金積立金であり、GPIFにより管理・運用が行われています。

GPIFが運用する資産額は約190兆円にも及び、日本以外の国の公的年金などで取り扱われている基金と比較すると、圧倒的な規模です。
そのため、世界で最も大きい公的運用機関ともいわれています。

GPIFの存在意義

前述したように、公的年金を管理したり、運用したりする組織であり、公的年金に関しては世代間扶養の考え方で成立しています。
世代間扶養は、現役の世代が支払う保険料を基に、高齢世代に対し年金を支払う世代間における支え合いを意味します。

現役世代が少子高齢化により減少してしまうため、年金を運用し増加させることは、日本医おいて非常に重要な課題です。
日本における年金制度は、「私的年金」と「公的年金」の2つの種類に分けられます。

私的年金とは、iDeCoや国民年金基金などであり、公的年金は厚生年金や国民年金のことです。
GPIFが管理および運用を行うのは公的年金の「年金積立金」です。
将来的に減少することが予測されている年金保険料をサポートする財源にするのが目的に運用されています。

運用目標

GPIFでは、運用における長期目標として賃金上昇率に1.7%加えた値を掲げています。
このような目標が掲げられている理由は、年金財政を安定させるためです。

公的年金の年金給付と保険料収入は、賃金水準によって変わり、国庫負担に関しては給付額により変わってきます。
そのため、年金積立金の運用によって得られる利益が賃金上昇率以上となれば、年金財政を安定できる可能性が高いです。

GPIFで年金を増やす理由

昔であれば貯金で高い金利が設定されており、国債も高い利回りだったので、貯金するだけで年金が勝手に増加していきました。
しかし、超低金利時代と呼ばれる現代では、貯金するだけでは金利がほぼ付かないだけでなく、日本国債に関してもマイナス金利です。

国民から年金を集め運用で増加させるのも困難な状況です。
少子高齢化が進んでいるため、年金財源をなかなか確保できず、その一方で高齢者の割合は増え続けているため、年金支給額は増加し続けています。

このような時代背景もあり、年金を適切に運用し増加させるのは、年金制度を維持したり、年金の支給額を増加させたりする上で非常に重要な課題です。
これまでのGPIFでは、年金運用のため、債券をメインで購入していました。

株式などに比べ、比較的価格の安定する債券は、元本割れになる可能性が少ないことがメリットです。
その一方、価格が激しく変動する可能性があり、含み損となるリスクのある株式は、約10%の保有割合でした。

GPIFのポートフォリオ

長期的な運用を目指していることもあり、短期的な市場動向に比べ、基本の資産構成割合を設定し、長期間その構成を保つことが効率的と考えられています。
そのため、公的年金の運用に関しては、「基本ポートフォリオ」が設定されています。

基本ポートフォリオは、何の資産にどの程度の割合投資するのかを決める資産配分目標であり、運用を評価する軸で使われるものです。
資産を構成する割合は、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券で各25%です。

その割合から、乖離許容幅をそれぞれの資産に対し±6~8%、国内外の株式と国内外の債券で±11%となっています。
なお、基本ポートフォリオは一度定めて終わりではなく、適時検証を実施し、必要であれば見直し再検討されます。

GPIFでは、毎年大きく値上がりする資産クラスを継続して当てるのは困難ですので、1つに限定し資産を運用せず、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券の4つの主要となる資産に分け投資を行っているのです。

分散投資が重要な理由

分散投資は、その名の通り、違う特性を持つ複数の資産に分散して投資することです。
投資する際に対象として選べる金融商品には、複数の種類が存在し、それぞれが違った特徴を持っています。

主な種類と特徴は、以下の通りです。

  • 国内株式

日本国内の企業が発行している株式であり、株式優待や配当金、譲渡益によって利益を目指しています。

  • 外国株式

海外の企業が発行している株式であり、国内株式と比べカントリーリスクや為替リスクに影響されやすいです。

  • 国内債券

社債や地方債、国債といった日本国内における団体により発行されている債券であり、株式と比べ安全性が高く、一定の収益性が期待できます。

  • 外国債券

海外の法人や政府、国際団体により発行されている債券であり、外貨建て債券や円貨建て債券といった種類が存在します。

  • 投資信託

資産の運用を資産運用における専門家が行い、投資家に利益を還元する仕組みの金融商品です。
投資は少額から行え、専門家に運用を任せることが可能です。

  • 預貯金

定期預金や普通預金といった金融機関に対しお金を預ける総称です。
そこまで収益性は見込めませんが、流動性・安全性は高くなっています。

例えば、債券と株式は、安全性や収益性が異なり、一般的に値動きはそれぞれ反対に動きます。
そのため、債券と株式の両方に投資することで、双方のメリット・デメリットを補うことが可能です。

また、金融商品は同じ株式の場合でも、通信業やソフトウェア・金融業・製造業といったように、業種の異なる株式に投資するのも、一つの分散投資です。
さまざまな業種の銘柄に投資することによって、万が一値下がりした際にも損失がコントロールできます。

分散投資することで得られるメリットは、主に以下2つです。

安定した運用が見込める

高い収益を毎年見込めるような金融商品に投資し、資産運用が行えれば、大きな運用益を得られる可能性が高いです。
しかし、最も大きな収益がどの商品なのか判断することは、専門家でも簡単ではありません。

例えば、ある年に大きな利益を外国株式で得られた場合でも、次の年には同じ外国株式を運用していたにも関わらず損失が生じ、結果だけ見れば国内債券に投資していた方が利益を多く得られたといったことはよくあります。
前年得られた利益を基に外国株式を多く購入した結果、株価が下がったことで大きな損失を負うことも十分あり得ます。

分散投資により、国内の債券や株式、外国の債券や株式を対象とすれば、リスクが分散できるため、安定して収益を得ることが可能です。
万が一、投資対象を1つに限定し、その対象に対し全資金を投資した際には、運用が思ったようにいかなかった場合に、全体に影響を及ぼしてしまいます。

しかし、分散投資では、そういった可能性を下げつつ、利益を安定して獲得できる可能性が高められます。

損失を負うリスクが下げられる

投資分野においては、「リスク」を損失や危険ではなく、「可能性」として考えられており、次のようなリスクが投資に存在します。

  • 価格変動リスク

その名の通り、価格が変動するリスクであり、金融商品価格は、発行元の業績や政治情勢、経済の動向、景気など多種多様な要因に影響されます。

  • 信用リスク

財政難や経営不振によって、投資先の会社が破たんしたり、利息や元本が返済されなかったりといったリスクです。

  • 流動性リスク

自分が望む価格またはタイミングで金融商品を売れないリスクです。

  • 為替変動リスク

金融商品の価値が通貨の為替レートの値動きで変動するリスクです。
外国通貨や外国株式などに投資する際に注意すべきリスクになります。

  • カントリーリスク

投資先が属する地域や国における政治情勢、経済環境といったリスクです。

例えば、債券や株式は信用リスクや価格変動リスクが考えられます。

価格変動によるリスクが少ない商品に預貯金がありますが、近年は超低金利ともいわれる時代であり、収益性が期待できないのが事実です。
一般的に、リスクが大きいものほど、得られるリターンも大きい傾向にあります。
その反対に、リスクが小さいものほど、得られるリターンも限られてきます。

投資先を分散することで、大きいリスクがある金融商品と、小さい金融商品を持てるため、できるだけリスクを抑えて資産を運用できます。

分散投資のデメリット

分散投資で短期間に大きく利益を獲得するのは難しいです。
資産を分散させず、1つの投資商品にすべての資産を投資する際、運よく大幅に株価が値上がりしたタイミングで売却することにより、大きな利益が期待できます。

しかし、5つの種類の投資商品に同じ金額の資産を分散して投資する場合、投資商品が1つが大きく値上がりした場合でも、獲得できる利益は資産の1/5しか上がりません。
投資では、リスクとリターンは切り離せない関係であり、投資リスクを減らすうえでは分散投資が有効ということを覚えておいてください。

GPIFを投資で活用しよう

個人投資家もGPIFを参考にポートフォリオを作成することは可能です。
長期投資にiDeCoなどで取り組む場合、国内株式・国内債券・海外株式・海外債券に資産を分散させ投資するのがおすすめですが、個人投資家が分散させる割合に関して最適なものとするのは難しいものです。

特に、資産運用を始めたばかりの初心者であれば尚更のことでしょう。
そのような際は、GPIFを参考に自分の資産を分散させる割合を設定することによって、長期視点で安定性の高いポートフォリオが構築可能です。

ただ単に真似するだけで、手間をかけずに資産運用の専門家が構築したポートフォリオが組めます。
また、何年間にも及ぶ長期投資に取り組む際は、資産構成の見直しを定期的に実施する必要があります。

GPIFも当然見直しを行っているため、定期的にGPIFを確認し、同じように資産を構成することにより、個人で投資する場合には困難な資産構成の見直しを簡単に実現可能です。
GPIFは、個別銘柄を選定するより、国内債券・国内株式・海外債券・海外株式の4種類の資産で、最適な資産の構成割合を検討し投資しています。

そのため、GPIFの構成割合を真似する際は、自分もGPIFと同様に分散投資と長期投資のスタンスで投資に取り組む必要があります。

まとめ

GPIFは、「Government Pension Investment Fund」の略称であり、日本語で「年金積立金管理運用独立行政法人」を意味します。
年金を適切に運用し増加させるのは、年金制度を維持したり、年金の支給額を増加させたりする上で非常に重要な課題です。

分散投資のメリットには、安定した運用が見込める、損失を負うリスクが下げられることがあります。

投資に興味を持っている、もしくは取引したりしようと思われている方は、GPIFの特徴やポートフォリオ、活用方法を理解した上で取り組むようにしましょう。

この記事を書いたライター

Action Hub編集部

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