投資基礎知識
投資に興味を持っている方、もしくはすでに投資をされている方の中には、「インカムゲインって何?概要やキャピタルゲインと異なる点について知りたい。」
「インカムゲインのメリット・デメリットについて知りたい。」「インカムゲインがおすすめの人の特徴について知りたい。」
このように思われている方も多いのではないでしょうか?
当記事では、こういった疑問にお答えします! 記事を最後まで読んでいただければ、上記の疑問について解決できると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。それでは解説していきます!
目次
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インカムゲインとは
インカムゲインとは、投資を行い資産を保有することによって得られる収入のことです。具体例には、投資信託の分配金、企業から株主に支払われる配当金、不動産による家賃収入、債券や定期預金から得られる利息などがあります。
また、FXで金利の低い国の通貨を売り、金利の高い国の通貨を買うことで得られるスワップポイントや、暗号資産を取引所に貸し付けて得られる利息(レンディング)も含まれます。
資産を運用することによって得られる利益は2種類あります。現在の金利条件では、預貯金に取り組んでもお金が増えることは期待できません。
債券や投資信託、株式といった金融商品に投資し、資産を運用することで、利益を得て資産を増やすことも可能です。資産を運用して利益を得る方法は2種類です。
1つ目の方法は、保有する商品を売って利益を得ること、2つ目の方法は、保有する商品の配当金などで利益を得ることです。株式のような金融商品に投資し購入した場合、その後は自由に売買できます。
購入したときの株価に比べて株価が上昇した際に売却することで、売却差益を得ることが可能です。この差益はキャピタルゲインと呼ばれます。
例えば、株式を1000円で購入し、1500円の株価で売却した場合、キャピタルゲインとして500円の利益を得ることができます。購入してからあまり時間が経過していなくても、保有する金融商品の価格が上昇していれば、利益を得ることができます。 なお、購入したタイミングに比べて値段が下落している際に売却すると、損失が出る可能性もあります。こうして売却することで損失になることをキャピタルロスと言います。
キャピタルゲインとの違い
キャピタルゲインとの違いを3つ紹介します。
リスク範囲
キャピタルゲインの場合、株価の値動きによって大きな利益を得られる可能性がある一方で、大きなリスクも存在します。株価が購入時より上昇した際に売却できれば利益を得られますが、購入時よりも下落している場合は損失となってしまいます。
その一方で、インカムゲインである預金や株式配当の場合、数%程度の年利であることがほとんどで、前述したキャピタルゲインと比較してリスクもリターンも低いことが特徴です。
保有する期間
キャピタルゲインの場合、資産を売却することで利益を得るのが目的ですので、一般的に保有する期間は短い傾向にあります。株式のようなデイトレードの場合、売買を瞬間的に済ませることも少なくありません。
その一方で、インカムゲインの場合、資産を保有することによって利益を得ることが可能なため、長期間保有することが基本です。
利益の獲得方法
繰り返しになりますが、インカムゲインは、資産保有期間に限り獲得できる利益のことです。保有する資産を売却せずに利益を得る一方で、売却してしまうとインカムゲインが得られなくなるデメリットがあります。
一方、キャピタルゲインの場合は、資産を売却して得られる利益のことです。キャピタルゲインの場合、資産を売却する際に利益が発生する必要がありますので、購入した後は購入した資産の価値が上がるのを待たなければなりません。
その分、保有している資産の価値が大きく上昇した際は、大きな利益を得ることができます。
インカムゲインのメリット
ここからは、インカムゲインのメリットを5つ紹介します。
安定した収入を得られる
インカムゲインの主な利点は、資産を保有しているだけで定期的に収入を得られることです。たとえば、株式の配当金や債券の利息などは、株価や債券価格が変動しても定期的に支払われるため、安定したキャッシュフローを提供します。これにより、収入の予測が立てやすくなり、生活費や将来の計画に対する不安が軽減されます。
長期的な資産形成
インカムゲインは長期的な資産運用に向いています。時間をかけてコツコツと利益を積み重ねることで、複利効果を享受することができ、資産を効率的に増やすことが可能です。特に、再投資を行うことで、インカムゲインはより高い成長を見込むことができます。
リスク分散の手段
キャピタルゲインを狙った投資とは異なり、インカムゲインは価格変動リスクに依存しません。市場が不安定な状況でも、配当金や利息などのインカムゲインは引き続き支払われるため、リスク分散の一環として役立ちます。これにより、市場が下落してもある程度の収益を確保できるため、リスク耐性の高いポートフォリオを構築できます。
簡便さと低コスト
インカムゲインを得るための投資は、頻繁な取引を必要としないため、時間や手間をかけずに運用が可能です。特に、配当金再投資プラン(DRIP)を活用することで、自動的に得た収益を再投資し、手間をかけずに資産を増やすことができます。また、頻繁な売買が不要なため、取引手数料も抑えられます。
精神的安定感
定期的な収入があることで、投資に対する心理的負担が軽減されます。資産価値の変動に左右されずに収益を確保できるため、投資のリスクを恐れずに長期的な視点で運用を続けることができます。
インカムゲインのデメリット
ここからは、インカムゲインのデメリットを5つ紹介します。
収益性の限界
インカムゲインは、一般的にキャピタルゲインと比較して収益性が低いです。たとえば、株式の配当利回りは通常数パーセント程度であり、債券の利息も同様です。これは、短期的に大きな利益を求める投資家にとっては物足りないかもしれません。また、高い収益を得るためには、多額の資金を長期間にわたって投資する必要があります。
資産価値の減少リスク
インカムゲインを得るためには、資産を保有し続ける必要がありますが、その間に資産価値が下落するリスクがあります。たとえば、株式の配当が安定していても、企業の業績が悪化した場合、株価が大幅に下落する可能性があります。この場合、インカムゲインは得られるものの、資産価値自体が減少してしまうため、トータルで見た投資パフォーマンスが悪化することがあります。
インフレリスク
インカムゲインは固定的な収益を提供することが多いため、インフレ率が上昇した場合、その価値が実質的に目減りするリスクがあります。特に、低金利時代では債券の利息や定期預金の利回りがインフレに追いつかないことがあり、実質的な購買力が低下する可能性があります。
税制上の制約
インカムゲインは、税制上の制約がある場合が多いです。たとえば、配当金や利息収入は通常、源泉徴収されるため、税引後の手取り収入が減少します。また、インカムゲインを得る資産が非課税枠外で運用されている場合、追加の税負担が発生する可能性もあります。
依存リスク
インカムゲインに依存しすぎると、他の投資機会を見逃してしまう可能性があります。特に、インカムゲインだけに焦点を当てている場合、価格上昇の可能性がある成長株や高リターンの資産クラスへの投資を怠ってしまうことがあります。結果として、ポートフォリオ全体のパフォーマンスが低下するリスクがあります。
種類ごとのインカムゲイン
種類ごとのインカムゲインについて詳しく解説します。
株式投資
株式投資で資産を運用する際は、インカムゲインとキャピタルゲインのどちらも獲得可能です。インカムゲインは株式を保有することで得られる配当金であり、キャピタルゲインは株式を売買することで得られる利益です。
株式を短期的に売買して利益を得た場合は、配当金が受け取れませんが、権利確定日まで株式を保有することで、キャピタルゲインを狙った投資スタイルの場合でも配当金を受け取ることができます。
ちなみに、多数の上場企業では、株主に対し配当金は年に2回支払われるため、短い場合でも半年間保有することで配当金を得られる可能性が高いです。
投資信託
投資信託は、資金を多数の投資家から集め、資産を運用することを専門とするプロが代わりに運用する金融商品です。投資する対象には、デリバティブ取引や公社債、国内外株式など多岐にわたります。
投資信託で得られる利益は、定期的に受け取れる分配金がメインとなるため、インカムゲインを狙った資産運用スタイルになります。分配金には、投資で得た利益を投資家に分配する普通分配金と、運用により元本割れとなった際に元本を取り崩して分配される特別分配金の2種類があります。
ただし、運用先が投資信託によって異なるため、元本割れといったリスクもそれぞれ異なります。したがって、インカムゲインを安定して得たい場合は、運用先をしっかりと確認し、デリバティブなどの高いリスクの運用を含まない商品を選ぶ必要があります。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、お金を借りたい事業者とお金を貸して資産運用を行いたい投資家を結ぶサービスです。サービスの流れは以下の通りです。
- ソーシャルレンディング業者がファンドを設立する
- 投資家がファンドに出資する
- 業者が借り手を審査し、資金を貸し付ける
- 借り手が業者に元本を返済し、金利を支払う
- 業者が投資家に対して分配金を定期的に支払う
- ファンドは期日になると解散し、元本が投資家に償還される
ソーシャルレンディングでは途中で解約して売却益を得ることは原則不可能なため、キャピタルゲインを得ることはできません。そのため、ソーシャルレンディングで資産を運用する際は、得られるのはインカムゲインの分配金のみです。
不動産投資
不動産投資とは、マンションや土地といった不動産を賃貸したり売買したりすることで収益を得る資産運用のことです。不動産を賃貸した際には、家賃収入が得られます。
この利益が不動産投資におけるインカムゲインです。長期間にわたって借り手がいる場合は、安定したインカムゲインを得ることができます。
預金
円建てで預金する際、為替変動は関係ありませんので、キャピタルゲインを得ることはできません。しかし、インカムゲインとして利息を得ることは可能です。
受け取った利息には20.315%の税金がかかりますが、すでに受け取る段階で源泉徴収が行われているため、金額の大小に関係なく確定申告を行う必要はありません。
税金との関係
株式で得られる配当金の場合、入金される際に税金が源泉徴収されているため、確定申告は不要です。しかし、利益状況次第では、確定申告を行った方が有利な場合もあり、「分離課税」もしくは「総合課税」を選んで確定申告を行うことができます。
申告分離課税では、株式の売却で生じた損失と配当で相殺することが可能です。総合課税では、配当控除が適用されます。
配当金を得た際、個人には20.315%の税率がかかります。確定申告しない、申告分離課税、総合課税の中から、最も自分にとって税負担が少ない方法を選ぶことが可能ですので、しっかりと理解しておきましょう。
インカムゲインがおすすめの人の特徴
インカムゲインの獲得を狙った投資の場合、長期間にわたって資産を増やしていくのが一般的です。多くの利益を短期的に得るのではなく、コツコツと長期的な資産形成を考えている方は、インカムゲインをメインに考えることがおすすめです。
インカムゲインを狙った投資の場合、キャピタルゲインを狙った投資に比べてリターンは低くなりますが、リスクも低く抑えることができます。そのため、できるだけリスクを下げて投資を行いたい方は、インカムゲインをメインに考えて投資することがおすすめです。
まとめ
インカムゲインとは、投資を行い資産を保有することによって得られる収入のことです。キャピタルゲインと異なる点には、リスク範囲や保有する期間、利益の獲得方法があります。
インカムゲインの最も大きなメリットは、資産を保有するだけで安定した利益を中長期的に得られる可能性があることです。一方、利回りの平均は2%前後で、高い収益は見込めないことがデメリットです。
投資に興味を持っている方、もしくはこれから挑戦しようと思われている方は、インカムゲインの概要やメリット・デメリットについて十分に理解した上で検討することが大切です。
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