投資基礎知識
チャートを利用しテクニカル分析に取り組もうか検討されている人の中で
「MACDって何?」
「MACDの仕組みやゴールデンクロス・デッドクロスについてについて知りたい。」
「MACDの注意点や、他のテクニカル分析とMACDを合わせた手法について知りたい。」
このように思われている人も多いのではないでしょうか?
当記事ではこのような悩みを解決していきます!
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
それでは解説していきます!
目次
目次
MACDとは
MACDは、2本の移動平均線を使用し株価を予測することを意味します。
MACDは、別の名で「移動平均収束乖離手法」や「移動平均収束拡散手法」と呼ばれることもあり、ジェラルド・アペルが1979年に開発したテクニカル分析のことです。
移動平均線をさらに進化させ、高い精度を持った分析を行うために、2本の移動平均線の位置関係から、売買タイミングを見分けるテクニカル指標になります。
簡単に言うと、2本の移動平均線が離れたり、くっついたりしている動きから、トレンドの売買タイミングなどを判断する手法です。
MACDは、SMA(単純移動平均線)でなく、EMA(指数平滑移動平均線)と呼ばれるものを使用します。
短期の指数平滑移動平均から長期の指数平滑移動平均を引いて求められたものです。
EMA(指数平滑移動平均)は、一定の期間において、比重を直近データに置き、求められる移動平均線です。
移動平均線を使ったものですが、EMAをベースにしているため、高い価値の直近株価が線に反映されやすいため、相場転換点が見分けやすいことに加え、ダマシも少ない特徴があります。
MACDの仕組み
MACDを構成する2種類の移動平均線のことを、MACD線、シグナル線と呼びます。
棒グラフでMACD線、シグナル線の2種類間の距離を示した指標がヒストグラムになります。
X期間の短期EMAからY期間の長期EMAを引いたものがMACD線、Z期間のMACD線におけるEMAがシグナル線、MACD線からシグナル線を引いたものがヒストグラムです。
簡単にいうと、最も基準となるのは、長短2本のEMAであり、その2本の差を表したものがMACD線ということです。
シグナル線はMACD線のEMAであり、MACD線とシグナル線の2本の差がヒストグラムの形になります。
なお、X・Y・Zは短期のEMAと長期のEMA、シグナル線期間を意味し、ほとんどの場合は、X=12、Y=26、Z=9となります。
この設定を変更することにより、MACDの動き方も変更可能です。
MACD線とは
MACD線は、前述したように短期EMAと長期EMAにどの程度差があるか、線で変化を示した指標のことです。
EMAは、直近の終値に重点を置いている移動平均線であり、EMAを使用しMACD線を作成することにより、トレンド転換におけるシグナルが、より早く発生しやすく、直近におけるトレンド強弱が追いやすくなります。
シグナル線とは
MACD線における移動平均線のため、MACD線に比べ若干滑らかな軌道で、MACD線を追うように動きます。
MACD線は、中心をゼロラインとし上下に繰り返し動きますが、シグナル線もMACD線を追うようにして、若干遅れて中心をゼロラインとし上下に動くイメージです。
例えば、ゼロラインをMACD線が超えて上がっていき、ピークを打った後に下落し、下から上にゼロラインをクロスする状況が発生したとします。
ピークをMACD線が迎えた段階では、MACD線に比べ、シグナル線は下に位置し、MACD線が下落しはじめると、上から下にシグナル線をクロスした後、上から下にゼロラインをクロスする流れが基本です。
チャートできれいなトレンド転換が発生する際は、MACD線は、はじめにシグナル線をクロスし、その後ゼロラインをクロスするという流れを理解しておきましょう。
この流れでの、はじめのMACD線とシグナル線がクロスすることは、MACDにおいて最も定番なトレンド発生サインです。
このサインは、後に詳しく解説する長短2本のEMAのゴールデンクロス・デッドクロスに比べ、早く発生する特徴があります。
ヒストグラムとは
棒グラフでMACD線・シグナル線の2本の間隔を分かりやすく示したものです。
MACD線・シグナル線の2本の線がクロスした際に、線の間隔は0になるため、ヒストグラムの値も当然0となります。
そのため、シグナル線をMACD線が上回り、ゴールデンクロスした際にMACD線とシグナル線は同じになるため、ヒストグラム値は0です。
このような際は、上昇トレンド入りとなる可能性があることを意味し、ヒストグラム値はマイナス→ 0→プラスに変化します。
その反対に、シグナル線をMACD線が下回ってデッドクロスした際は、ヒストグラム値がプラス→0→マイナスに変化します。
MACD線・シグナル線の2本が交差した際は、トレンドピーク時に比べタイミングが遅れる可能性が高いです。
そのため、利益確定の判断でヒストグラムの高さが使われることも多いです。
しかし、ヒストグラムにおけるピークは、数値で判断できないこともあり、その分だましも多くなるため注意しましょう。
MACDのゴールデンクロス・デッドクロスについて
トレンド発生を予測する定番サインに、短期EMAが長期EMAを抜く、移動平均線におけるゴールデンクロス・デッドクロスというものがあります。
この移動平均線には、複数の種類が存在するものの、最も基本とされるのが単純移動平均線(SMA)です。
しかし、SMAは、サインが発生するのが遅い弱点を持っており、この弱点を改善するために開発されたものが、EMAです。
EMAは、直近データがさらに大きく影響するよう計算式が作成されているため、SMAに比べ、敏感に直近チャートの動きに反応する設計となっています。
そのため、SMAに比べ、EMAは早い段階でサインが発生しやすくなっています。
ですが、必ずEMAのサインに比べSMAのサインが早く出るわけではありませんので、理解しておきましょう。
ゴールデンクロス・デッドクロスでは、前述したように、同じパラメータの場合はEMAに比べ早い段階でトレンド発生に対するサインが発生するような設計になっています。
つまりサインは、はじめにSMA、その後にEMA、そしてMACDの順番で発生しやすい仕組みです。
また、ゴールデンクロス・デッドクロスに比べ、ヒストグラムにおける反転が先に発生します。
MACDについて理解をより深めるためにも、この流れについても理解しておくようにしましょう。
MACDの注意点
MACDの注意点は、以下5つです。
トレンド終盤は特に注意
トレンド終盤は、MACDの使用方法に特に注意する必要があります。
理由は、MACDから読み取れるサインの信頼性が下がる場合があるからです。
長期間トレンドが続いた場合、途中から平行にMACD線とシグナルが進みます。
この際、ゴールデンクロス、またはデッドクロスが生じたとしても、信頼性の低いサインだと判断してください。
また、ヒストグラム値が0付近で小さく動くような場合も警戒してください。
この動きは、市場動向が一定でなく、トレンド終盤の可能性を意味します。
以上の理由から、トレンド終盤はMACDの使用方法に注意する必要があります。
しかし、その反面、他のテクニカル指標と併用することによって、取引の確実性を高めることも可能です。
だましが起きる
トレンドが生じている局面でMACDは有効なものの、一定の価格帯にて上下を繰り返しているレンジ相場の場合、だましに合ってしまう可能性が高いことがデメリットです。
だましは、チャート上では買いシグナル、売りシグナルを示しているにも関わらず、セオリー通りに値動きしない現象のことです。
万が一だましの存在を知らず、FXトレードを行っている場合、トレード手法に疑念を持ち、トレードに自信を持てなくなってしまうこともあります。
だましが起きる理由
MACDは早い段階でトレンドが見つけられるよう設計されているテクニカル指標です。
シグナルを早い段階で発生する分、だましに合う可能性が高くなります。
また、相場の方向感が明確になっていないレンジ相場の場合、だましに合う可能性がさらに高いため注意が必要です。
だましの回避方法
MACDでだましを避けるための方法には、MACDの弱点を補えるテクニカル指標を併用することがあります。
MACDの弱点を補う代表的なテクニカル指標にRSIがあります。
RSIを併用することで、MACDで認識できないような、売られ過ぎ・買われ過ぎの相場の過熱感を知ることが可能です。
MACD・RSIの両方が買いシグナル、もしくは売りシグナルの場合は、より確実性の高いシグナルと言えます。
また、ボリンジャーバンドと併用するのもおすすめの方法です。
ボリンジャーバンドでは、レンジ相場においてバンド幅が狭くなる設計であり、トレンドが生じると上下にバンド幅が広がり、エクスパンションに変わります。
MACDがトレンド相場を表し、ボリンジャーバンドもエクスパンションに変わっているような場合は、より信頼性の高いシグナルと判断できます。
この2つの併用方法に関しては、後により詳しく解説いたします。
決済ポイントの把握が難しい
MACDを使用する際は、決済ポイントの把握が難しい点に注意が必要です。
ゴールデンクロスによりエントリーした場合、デッドクロスで決済を行い、その一方でデッドクロスによりエントリーした場合、ゴールデンクロスで決済するのが一般的です。
しかし、決済するタイミングは、トレンド転換でなく、押し目・戻り目である可能性も存在します。
その場合、本来獲得できたはずの利益が得られなくなってしまいます。
そのため、決済するポイントは、獲得数字やpipsなど、他の指標を使い決めるのがおすすめです。
MACD単体だと機能しない場合も多い
MACD単体だと機能しないことを頭に入れておきましょう。
MACD情報通りに相場が必ず動くとは限りません。
MACD情報だけでトレードしてしまうと、大きな失敗に繋がってしまう可能性があります。
そのため、トレードにエントリーする根拠を高めるためにも、RSIなどの他のテクニカル指標も併用するのがおすすめです。
中途半端な動きに弱い
MACDは、明確なトレンドが生じるのを早く捉えられる特徴があります。
しかし、チャートが明確な動きではなく、中途半端な動きの場合は、狭い範囲でMACD線が上下動し、頻繁にシグナル線とクロスする状態が発生します。
こうなると、MACD線・シグナル線のクロスが有効に機能しなくなり、だましが連続で起きる可能性が高いです。
そのため、MACDの信頼性が低い相場では、MACDサインを使用しない選択肢も持っておきましょう。
MACDは、しっかりと機能しない相場が存在するという弱点を理解し、そのような相場は回避することで、損失を回避できます。
他のテクニカル分析とMACDを合わせた手法
他のテクニカル分析とMACDを合わせた手法を2つ紹介します。
RSIとの組み合わせ
RSIは、トレンドの過去の上昇と下落幅の合計の上昇幅割合を表した指数であり、トレンド転換が生じやすいタイミングの予測が得意です。
具体的には、RSIの数値が70%を上回ってから、再度70%に割り込んだ場合は売りといったサインが存在します。
このように、RSIでは上昇トレンドが終わる可能性が高いことを判断できますが、その直後にMACDで下降トレンドが生じるサインが出ている場合、このタイミングで売り判断をすることで、さらに確実性を高められます。
MACDを単独で使う場合、だましが生じやすいものの、RSIを併用しトレンド転換が生じやすい環境を判断することで、より精度の高い判断が可能です。
ボリンジャーバンドとの組み合わせ
ボリンジャーバンドを使うことで、レンジ相場をより正確に把握できます。
ボリンジャーバンドは、バンドの幅がスクイーズしたり、エクスパンションしたりすることによってトレンド発生の有無、方向性が捉えやすいことが特徴です。
売買サインはいくつか存在しますが、基本的には順張りトレードで使います。
スクイーズしている際は、価格が調整されている途中であり、値幅が少ないことを意味するため、売買を行いません。
ボリンジャーバンドを併用し、売買する際は、以下の3点を意識しましょう。
ボリンジャーバンドが±2σを目途に利益を確定する。
またはMACDでトレンド転換や反対の売買シグナルが見られた際に決済する。
ボリンジャーバンドによって確認されたトレンド方向性が、MACDの方向と同じであればエントリーする。
ボリンジャーバンドにおける中心線の傾きによってトレンド確認を行い、バンド幅によってトレンド強弱を把握する。
まとめ
MACDは、2本の移動平均線を使用し株価を予測することを意味します。
MACDは、別の名で「移動平均収束乖離手法」や「移動平均収束拡散手法」と呼ばれることもあり、ジェラルド・アペルが1979年に開発したテクニカル分析のことです。
MACDを使用する際は、トレンド終盤は特に注意する必要がある、だましが起きる、決済ポイントの把握が難しいといった点に注意が必要です。
また、MACDを使用する際は、RSIやボリンジャーバンドと併用することで、よりトレードの精度を高められます。
チャートを利用しテクニカル分析に取り組もうと思われている方は、MACDの仕組みや使用する際の注意点について、十分理解した上で検討することが大切です。
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