PBRとは?概要やPERと異なる点、投資で利用する際の注意点についてわかりやすく簡単解説

2024.08.22

PBRとは?概要やPERと異なる点、投資で利用する際の注意点についてわかりやすく簡単解説

投資基礎知識

投資に興味を持っている、もしくはすでに投資している人の中で

「ROEって何?概要やどんなことが分かるのか知りたい。」
「ROEを上げる方法について知りたい。」
「ROEで評価する際の注意点について知りたい。」

このように思われている人も多いのではないでしょうか?

当記事ではこのような悩みを解決していきます!
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

それでは解説していきます!

PBRとは

PBRは、英語の「Price Book-value Ratio」の頭文字を取った略称であり、株価が1株の純資産の何倍まで購入されているかを把握するための投資尺度です。
現在の株価が、企業の資産価値と比べて割安なのか割高なのかを把握するための目安として使われます。

PBRが示す数値では、低ければ割安、高ければ割高と判断します。
また株価における底値の1つの目安としてPBR=1倍がありますが、PBRが1倍を長期間下回っている銘柄も存在し、底値の判断基準として必ずしも効果を発揮するものではないため注意が必要です。

基準が1倍の理由

PBRは、1株の純資産(解散価値)と株価を比べ、割安なのか、割高なのかを判断するための指標ですので、株価=1株の純資産、もしくは、時価総額=純資産の状態を基準に考えられています。
1株の純資産が1,000円、株価も1,000円である銘柄の場合、PBRは株価の1,000円から1株の純資産である1,000円を除算し、1倍であることが分かります。

計算結果が1倍の場合、1株の純資産と株価が同じため、株価は割高でもなければ、割安でもないと判断できます。
これが1倍を基準にしている理由です。

企業の所有者といえる株主ですが、企業は銀行から融資を受けたり、取引先に支払手形があったりします。
そのため、株主に実際に帰属される資産は、負債額を総資産額から引いた純資産額です。

前述の通り、PBRは株価から1株の純資産額を割った値で求められますので、PBRが1倍以上であれば、企業が市場で高く評価されていることを意味し、本来の純資産価値に比べ高い価値で取引されていることになります。
例えば、今後成長が期待される企業や、黒字経営となっている企業であれば、投資家は資産運用を確実に行える企業の株式を取得しようと思うはずです。

株式市場では、投資家からのニーズ上昇に伴い、株価も上がりますので、良い業績の企業である分、株価も高くなり、1倍以上のPBRとなり割高と判断されます。

このような仕組みから、1倍以上のPBRを持つ企業は、高い評価を株式市場で受けており、それだけ株式の取引が行われている企業ということです。
今後株式を購入する場合、株式に割高感があることが良いこととは言い切れませんが、すでに株を保有している株主からすれば、株価が上昇することは保有資産が増えたことを意味します。

その一方で、PBRが1倍以下の場合、先ほどの解説と反対のことが起こりますので、純資産をその時点で全て売却した場合でも、株主全員にこれまで投資した分の金額が返還されないことになります。
つまり、1倍以下ということは、その分企業としての価値が低い状態です。

万が一1倍以下のPBRとなっている際は、企業の所有する純資産の価値に比べ、株式を低価格で購入可能ということになりますので、これから投資を行う側にとっては魅力的な割安株とも考えられます。
例えば、0.9倍のPBRの場合、本来の純資産価値に比べ、その企業の資産を1割安く購入できるということです。

しかし、この際にただ割安で運が良かったと考えるのではなく、PBRがなぜ1倍以下になっているのか、理由を確認することが大切です。
万が一企業の赤字経営が続いており、業績の落ち込みが原因で投資家や株主が離れていき、その結果株価が下落しPBRも下がっている場合、長期投資を行う際は決して安定しているとは言えません。

割安感はあるかもしれませんが、長期的に資産を運用しようと思っている場合は不適切な投資先といえるでしょう。
1未満のPBRである企業の場合、財務状況や各種利益率の推移をしっかりと確認した上で投資するか判断することが大切です。

また、企業の業績が悪化していることを原因に1未満のPBRとなっている場合は、業績が悪化した理由についても調べる必要があります。
例えば、何かしらの事故や不正があったことで、市場から信頼性を失っている可能性も考えられます。

また、それとは逆に、現時点では赤字経営となり株価が伸び悩んでいるものの、実際は新しいビジネスモデルの開発に取り組んでおり、将来的に見た際には大きく成長する可能性が高い事業を検討中というケースも少なくありません。
現在では世界規模となった企業であるAppleやGoogleなども、今の業績ではなく将来の業績を考える時代がありました。

そのため、PBRの数値だけで判断するのではなく、背景状況についても考慮し、将来性も十分考慮した上で投資するか判断することが大切です。

株価との関係

PBRは、純資産における株式の時価割合を意味しますので、PBRが1倍であれば、会社における資産価値と株価は同じです。
この際は、株価が適正価格であることが分かります。

繰り返しになりますが、1倍以上の場合、基本的には本来の資産価値に比べ高いため割高と判断され、逆に1倍未満であれば割安だと判断されます。
PBRが普段高い銘柄が、一時的に低くなっている場合は、株価が割安だと判断できます。

しかし、営業不振や赤字などが発生しPBRが低下していることもあるため注意しなければなりません。
設立して間もない、会社規模も小さい新しい会社では、純資産が少ないといった理由でPBRが高くなっていることもありますので、投資する際はPBRの数値の背景についても考慮する必要があります。

PERと異なる点

PBRと混同されることも多い指標として、PERがあります。
PERは、英語の「Price Earnings Ratio」の頭文字を取った略称であり、日本語で株価収益率という意味です。

PERは、簡単にいうと1株の純利益に対し、株価が何倍なのかを表した指標であり、PBRと同じように単位には「倍」が使われます。
両方とも株価の妥当性を知るために使われるものの、PBRの場合、企業における資産価値の評価基準で使われる一方で、PERの場合は、企業における収益性を評価基準にしているといった、評価対象に違いがあります。

PBRの注意点

PBRを使い投資する際の注意点は、以下の6つです。

実際の資産価格とズレがある

帳簿上で公開されている純資産を使い求められるPBRでは、帳簿上に記載されている価格と実際の資産価格にズレがある場合、時価を反映した正確な数値を算出することができません。
帳簿に記載されている価格に比べ、資産時価が低くなっている、棚卸資産といった減損が存在する場合、帳簿上に記載された数値で求められたPBRを基準に、株式が割高なのか、割安なのか判断できないこともあるため注意が必要です。

全体的に株式市場が下落している際など、株価が短期的に変動しているような時期であれば、優良企業でも一時的にPBRが下がることもあります。
そのような場合でも、PBRの数値だけで株価が割安だと判断して投資を行うのは危険です。

現在帳簿上で豊富な純資産がある企業と思えても、会社の経営状況次第では、今後純資産が減ることに伴いPBRも割高に変わる可能性があります。
また、人気がなく投資家に購入されない銘柄の場合、その影響によって今後PBRが下がる状況も考えられます。

PBRだけで判断しない

繰り返しになりますが、PBRが1未満だからといって割安だと判断し、すぐに投資するのは危険ですので、決してPBRだけで判断しないようにしましょう。
PBRが低いことは、株価が割安であることを必ずしも示しているわけではありません。
将来性に不安が抱かれていたり、財務内容が悪化していたりする原因はないか考慮する必要があります。

そのため、PBRだけでなく、経営状況を他の経営指標も使って分析し、投資するかどうか判断する必要があります。
例えば、前述したPERやROEなど、他の指標も組み合わせて参考にすると良いでしょう。

同業種と比べる

業界や業種によって、PBRの標準的な数値が変わります。
例えば、将来的に成長が期待されているようなIT企業ではPBRが高くなっているケースが多く、製造業のような安定している業界ではPBRが低くなっているケースが多いです。

そのため、投資の判断材料としてPBRを使う場合は、同じ業界・業種の企業と比べるようにしましょう。

PBRが長期間低い場合は要注意

長期間PBRが低い状態が続いている銘柄の場合、高い利益が見込めず、保有リスクが低い銘柄である可能性が考えられるため、注意が必要です。
株価が業績悪化を先取りしているような場合は、現在のPBRが低くても、今後資産売却などにより、資産価値が減少する可能性がありますので、PBRの数値だけで投資するか判断せず、会社の経営状況についてもしっかりと確認しましょう。

将来価格が重視されていることも多い

スタートアップやベンチャー企業の多くは、開業して間もないため投資の負担が大きくなり、その結果マイナスの純資産となっていることが多いです。
しかし、マイナスの純資産の場合でも、先進的なサービスや技術により、新たなマーケットを創り出すことで、将来的に利益を上げる見込みがある場合は、上場時には期待値からの株価で売り出せます。

逆に、十分に純資産がある場合でも、将来的に縮小することが予測される市場で事業を展開し、赤字経営となるリスクがある企業では、投資価値は低いと投資家や市場に判断される可能性が高いです。
そうなると、株価は当然下落するため、結果的にPBRも1未満になってしまいます。

そのため、将来利益が見込める事業を展開できるかどうかによって、株価に影響を与えることをしっかりと頭に入れておきましょう。

時系列で比べる

PBRを見る際は、単年度の数値だけでなく、現在とこれまでのPBRを比較し、違いを確認することも重要なポイントです。
会社が変化の少ない経営活動を行っている際は、PBRも変化しにくいので、会社の経営状況をPBRを利用して把握することが可能です。

PBRを複数年度時系列で確認すると、どの程度が適正数値なのか理解できるため、PBRが推移したことから、その会社に問題が生じているか推測できます。

まとめ

PBRは、英語の「Price Book-value Ratio」の頭文字を取った略称であり、株価が1株の純資産の何倍で購入されているかを把握するための投資尺度です。
現在の株価が、企業の資産価値と比べて割安なのか割高なのかを把握するための目安として使われます。

PBRは、1倍以上の場合、基本的には本来の資産価値に比べ高いため割高と判断され、逆に1倍未満であれば割安と判断されます。
PBRを使い投資する際は、実際の資産価格とのズレがあること、PBRだけで判断しないこと、同業種と比べることに注意が必要です。

投資に興味を持っている、もしくは投資を始めようと思っている方は、PBRの意味や特徴、投資で使う際の注意点を十分理解した上で投資するか判断するようにしましょう。

この記事を書いたライター

Action Hub編集部

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