株価収益率とは?割安株を見つけるためのPER活用術とデメリット

2025.02.25

株価収益率とは?割安株を見つけるためのPER活用術とデメリット

投資基礎知識

株式投資を始めると、必ず耳にする「株価収益率(PER)」という指標。
しかし、その意味や活用方法を正確に理解しないまま投資を続けると、思わぬリスクに直面することもあります。

株価収益率は企業の株価が利益に対して適正かどうかを示す便利な指標ですが、実はデメリットも存在します。
当記事では、株価収益率のデメリットについて詳しく解説し、投資家が陥りがちな落とし穴や注意点をご紹介します。

株価収益率とは

株式投資において企業の価値を測る重要な指標の一つです。

投資初心者からベテラン投資家まで、多くの人が銘柄選びや投資判断に活用しています。

しかし、しっかり理解している人は意外と少ないものです。

ここでは、定義や計算方法を解説し、なぜ投資判断に重要なのか、目安としてどの程度の数値が適切なのかを詳しく見ていきます。

株価収益率(PER)とは

株価が1株当たりの純利益(EPS)に対して何倍になっているかを示す指標です。

簡単に言えば、投資家がその企業の利益に対してどれくらいの価格を支払っているかを示します。

株価収益率の計算方法

株価収益率(PER)は以下の式で計算します。

PER = 株価 ÷ 1株当たり純利益(EPS)

・株価:現在の市場価格

1株当たり純利益(EPS):企業の純利益を発行済株式数で割ったもの

計算例

ある企業の株価が2,000円で、1株当たり純利益(EPS)が200円の場合

PER = 2,000円 ÷ 200円 = 10倍

この場合、投資家は企業の利益の10倍の価格で株を購入していることになります。

PERが示す意味

PERが高い場合:「株価が割高」と判断される可能性があります。

ただし、成長が期待される企業ではPERが高くても投資価値があると見なされることがあります。

PERが低い場合:「株価が割安」と評価されやすいですが、企業の成長が見込めないリスクもあります。

PERは単純な数値で割安・割高を判断できる一方で、業種や企業の状況に応じて柔軟に解釈することが重要です。

重要な理由

投資判断において重要視される理由は、企業の株価が利益に対して適正かどうかを示す指標だからです。

PERを理解し活用することで、投資リスクを抑えつつ、効率的な投資が可能になります。

株価の割安・割高を見極める

株価収益率は、投資家が企業の利益に対して支払う価格を示しているため、株価が適正かどうかを判断する重要な材料となります。

割高な株:高い場合は、株価が利益に対して過大評価されている可能性がある。

割安な株:低い場合は、株価が利益に対して過小評価されている可能性がある。

特に、同業種内の企業や市場平均と比較することで、投資対象が適正な評価を受けているかどうかがわかります。

成長性を加味した投資判断

PERは現在の利益に基づいて計算されますが、将来の成長性も考慮することが重要です。

成長企業は将来の利益増加を期待されてPERが高くなることが多いです。

例えば

成長株:PERが高いが、将来的な利益拡大が期待される。

成熟企業:PERが低めだが、安定した利益を生み出している。

PER単体ではなく、企業の将来性や事業内容と併せて総合的に判断することで、より精度の高い投資判断が可能です。

目安は?

株価収益率の適正な目安は業界や市場環境、企業の成長ステージによって異なります。

単純に数値が低ければ割安、高ければ割高というわけではありません。

一般的なPERの基準値

日本市場の平均的なPERは15倍程度とされています。

ただし、あくまで目安であり、企業の成長性や業績を加味する必要があります。

業種ごとのPERの違い

業種によってPERの基準値は大きく異なります。

成長産業(ITやバイオなど):将来の成長が期待されるため、PERが高めになりやすい。

安定産業(電力、食品など):成長が緩やかな分、PERは低くなる傾向があります。

例えば、同じPER20倍でも、成長が期待されるIT企業と成熟した食品企業では評価が異なるため、同業種内で比較することが重要です。

低PERの落とし穴

PERが低いからといって必ずしも「割安株」とは限りません。

  • 業績悪化による一時的な利益減少
  • 企業の将来性が疑問視されている場合

低PERの銘柄に投資する際は、業績や財務状況をしっかり確認することが必要です。

株価収益率のメリット

株式投資において「株価収益率(PER)」は、企業の株価が利益に対して適正かどうかを示す重要な指標です。

多くの投資家が銘柄選びや投資判断に活用しており、そのシンプルさとわかりやすさが大きな魅力です。

ここでは、株価収益率を活用することで得られるメリットを具体的に解説し、投資の精度を高める方法をご紹介します。

株価の割安・割高を判断しやすい

株価収益率(PER)は、株価が1株あたりの純利益(EPS)に対して何倍の価値で取引されているかを示すため、株価の割安・割高を一目で判断できる点が大きなメリットです。

例えば、同じ業種のA社とB社のPERを比較し、A社が10倍、B社が20倍だった場合、A社のほうが利益に対して株価が安いと判断できます。

投資タイミングの目安になる

PERを活用すれば、割安株を見つけることが可能です。

株価が低く、企業の利益が安定している場合、今後株価が上昇する可能性が高いと考えられます。

また、逆に高すぎるPERの株式は投資を見送る判断材料としても使えます。

比較が容易

複数の企業や市場全体の平均値と比べれば、より正確に投資判断が可能です。

同業他社との比較ができる

PERは業種や企業ごとに基準値が異なりますが、同じ業界内の複数の企業で比較すれば、割安な銘柄が浮き彫りになります。

例:同じ自動車業界のA社のPERが12倍、B社のPERが8倍の場合、B社の株価が割安と判断できる可能性があります。

適正評価を確認

市場平均と比べることにより、適正水準を判断できます。

日本市場の平均PERはおおむね15倍程度とされています。

業種ごとの違い:成長産業は高PER、成熟産業は低PERが一般的です。

このように市場全体や同業他社との比較を行うことで、投資先が過小評価されているか、過大評価されているかが一目でわかります。

投資初心者でも理解しやすい

株価収益率(PER)は計算が簡単で、初心者でもすぐに理解し、実践に活用できる指標です。

シンプルな計算式

株価収益率は以下の計算式で求められます。

PER = 株価 ÷ 1株あたりの純利益(EPS)

例えば株価が2,000円、1株当たりの純利益(EPS)が200円の場合

PER = 2,000円 ÷ 200円 = 10倍

このシンプルな計算方法により、投資初心者でもすぐに株価の割安・割高を判断できます。

投資判断の第一歩として役立つ

複雑な財務指標を読み解くことが難しい初心者でも、PERだけで簡単に企業の評価を確認できます。

PERは多くの投資家が使う基本指標であり、ファンダメンタルズ分析の入り口として非常に有用です。

成長性が期待できる銘柄を見つけやすい

株価収益率は企業の成長性を見極める手がかりにもなります。

高PERが示す成長期待

PERが高い企業は、現時点では利益が少ないものの、将来的に大きな利益を生む成長企業である可能性があります。

例えば

新興企業やIT企業:現時点では利益が少ないが、将来的な成長が見込まれているためPERが高め。

成長株:利益の伸びが期待され、投資家が将来の利益に対して高い評価をつけている。

低PERでも成長余地がある場合

逆にPERが低い企業でも、業績の改善や経営の立て直しが進むことで株価が上昇するケースがあります。

例えば、過去に業績が悪化した企業が回復し、利益を大幅に増加させるとPERが見直され、株価が上昇することがあります。

株価収益率のデメリット

株式投資でよく使われる「株価収益率(PER)」は、企業の株価が利益に対して適正かどうかを判断するための便利な指標です。

しかし、株価収益率だけで投資判断を行うのは危険です。

PERにはいくつかのデメリットや注意点があり、正しく理解しないと誤った投資判断をしてしまう可能性があります。

ここでは、株価収益率のデメリットについて詳しく解説し、投資判断で陥りがちな落とし穴について見ていきましょう。

利益が変動しやすい場合はPERが正確に機能しない

株価収益率(PER)は「1株あたりの純利益(EPS)」を基に計算しますが、企業の利益は一定ではありません。

業績の変動が激しい企業や一時的な利益が発生している企業では、PERの数値が正確に企業価値を反映しない場合があります。

一時的な利益でPERが低く見えるケース

例えば、ある企業が事業売却や一時的な収益増加で純利益を急増させた場合、PERが急激に低下することがあります。

一見すると割安に見えるため投資したくなりますが、その利益が継続的でない場合は注意が必要です。

例:特別利益で一時的にEPSが増加 → PERが低下 → 実際は割安ではない

赤字企業や業績不安定な企業では意味を持たない

企業が赤字の場合、1株当たり純利益(EPS)がマイナスになるため、PERを計算できません。

また、業績が不安定な企業では、PERが年ごとに大きく変動するため、長期的な投資判断に適さないことがあります。

業種・市場環境で異なる

株価収益率(PER)の適正な水準は業種や市場環境によって異なります。

そのため、単純に判断するのは危険です。

成長産業と成熟産業でのPERの違い

成長産業(IT、バイオなど):将来的な成長が期待されるため、PERが高くなりやすい傾向があります。

成熟産業(電力、食品など):成長が緩やかなため、PERが低くなる傾向があります。

例えば、PER20倍のIT企業とPER10倍の食品企業を比較した場合、IT企業が割高で食品企業が割安とは限りません。

業種ごとのPERの平均値や成長性を考慮することが重要です。

市場環境がPERに影響する

株式市場全体が好調な時期や投資家の期待が高い時期には、PERが高くなる傾向があります。

逆に、市場が低迷している時期はPERが低くなることが一般的です。

こうした市場環境による影響を理解せずにPERを判断すると、誤った投資判断をしてしまう可能性があります。

成長性や将来性を完全に反映しない

株価収益率(PER)は「現在の利益」に基づいて計算されるため、企業の将来的な成長性や事業の将来価値を完全には反映しないというデメリットがあります。

高PERでも成長期待がある場合

割高と判断されることが多いですが、実は将来的な成長が期待されている可能性もあります。

特に新興企業や成長株では、現時点の利益は少なくても、将来的に大きな利益を生むことが期待されるため、PERが高くなる傾向があります。

例:利益は少ないが成長性の高いIT企業 → PERが高いが将来的に利益増加

低PERでも将来性がない場合

逆にPERが低い企業は一見割安に見えますが、将来的な成長性が乏しい場合もあります。

例えば、業界の衰退や企業の競争力低下により利益が減少する見込みの企業では、PERが低くても魅力的な投資先ではないことが多いです。

単体では不十分

株価収益率はシンプルで使いやすい指標ですが、あくまで投資判断の一つの要素に過ぎません。

PERだけで投資判断をするのは危険です。

他の指標と組み合わせて分析する必要がある

PERは企業の株価と利益の関係しか示していないため、他の財務指標と組み合わせて総合的に評価することが重要です。

PBR(株価純資産倍率):企業の純資産に対する株価の水準を示す指標

ROE(自己資本利益率):企業が自己資本をどれだけ効率的に活用して利益を生んでいるかを示す指標

配当利回り:株価に対する配当金の割合

例えば、PERが低くてもPBRが高い場合やROEが低い場合、企業の実力や成長性に疑問が残ります。

まとめ

株価収益率とは、投資家が企業の利益に対してどれだけの価値を株価として支払っているかを示す基本的な指標です。

そのシンプルな計算方法から投資初心者にも利用しやすい反面、業績変動の激しい企業や業種による基準値の違いがあるため、PERだけでの判断は危険です。

特に、PERが低い銘柄でも業績悪化が隠れている可能性があるため、財務健全性や成長性も確認することが重要です。

PERを正しく理解し、他の指標と組み合わせて分析することで、賢明な投資判断につながります。

この記事を書いたライター

Action Hub編集部

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