プライベートプレースメントとは?特徴・メリット・リスクを徹底解説

2025.01.26

プライベートプレースメントとは?特徴・メリット・リスクを徹底解説

投資基礎知識

資産運用を考える個人投資家にとって、プライベートプレースメント(私募)は新たな選択肢として注目を集めています。
これは、企業が限られた少数の投資家に限定して資金を募る投資方法であり、公募とは異なる特徴や利点を持っています。

公募にはないプライベートプレースメントならではの独自の魅力や、そのリスクについて詳しく知ることで、投資の幅を広げるための理解が深まるでしょう。

当記事では、基本的な仕組みからメリット・リスクまでをわかりやすく解説します。

プライベートプレースメントとは

投資には「公募」と「私募」という方法があり、特に「私募」を指す「プライベートプレースメント」は多くの個人投資家にとって新たな選択肢となりつつあります。

公に広く募集される公募とは異なり、特定の投資家を対象に限定的に募集されるプライベートプレースメントは、異なる特性とメリットを持っています。

ここでは、プライベートプレースメントの基本的な定義と、これを理解するために重要な公募との違いについて詳しく解説します。

プライベートプレースメントの基本的な定義

プライベートプレースメントとは、企業が資金を調達する際に、少数の特定の投資家に限定して資金を募る手法を指します。

多くの場合、投資家は法人や富裕層、プロの投資家といった特定の属性を持つ人々が中心となり、一般的な市場の公募に比べて、少数精鋭の投資家が対象となります。

これは、一般的に「私募」とも呼ばれ、通常の公募とは異なる方式で投資を行うため、特定のメリットとリスクがあるのが特徴です。

プライベートプレースメントの大きな特徴は、「規模は大きくなくとも迅速に資金調達を行える点」にあります。

公に資金を募る公募のように多くの投資家に広報を行う必要がなく、限られた投資家に迅速にアクセスすることが可能です。

このため、資金を必要としている企業にとっても効率的であり、投資家にとっても通常の市場に出回らない投資機会にアクセスできる点で利便性が高いです。

少数投資家への限定募集

プライベートプレースメントでは、募集対象が「特定の少数投資家」に限定されます。

日本では法律で、「50人未満の投資家への募集が私募として認められる」と定められており、これにより公に多数へ告知する必要がなくなるのが大きな特徴です。

この手法により、企業は広告や広報費用の削減ができ、また迅速な資金調達が可能となります。

さらに、投資家にとっても、通常の市場に出回らないような特別な投資機会が得られることもあります。

公募との違い

プライベートプレースメントを理解するうえで、一般的に広く知られている「公募」との違いを把握することが大切です。

公募は、企業が広く一般の投資家に向けて資金調達を行う手法で、プライベートプレースメントとはその対象やプロセスが大きく異なります。

それぞれの特性を理解し、どちらが自分に適した投資方法であるかを見極めるためには、この違いを知ることが重要です。

投資家へのアプローチと情報開示の違い

公募では、企業が広範な投資家に向けて投資を募るため、詳細な情報開示が義務付けられています。

これには、財務状況や事業計画、リスク要因などの詳細なデータを開示することが求められ、投資家はこうした情報をもとに投資判断を行います。

一方、プライベートプレースメントでは、こうした厳密な情報開示の義務が軽減されることが多く、必要最小限の情報開示で済むため、募集のスピードが向上する反面、投資家側にはリスクが伴うこともあります。

投資家の数と規制の違い

もう一つの大きな違いは、投資家の数と規制の程度です。

公募は数百人、場合によっては数千人単位の投資家を対象にすることが可能であり、その分、投資家保護の観点から厳しい規制が設けられています。

例えば、情報開示や適合性の確認などが求められます。

一方、プライベートプレースメントでは前述のとおり、法律で50人未満に限定されているため、規制の範囲も限定的です。

特に私募の場合、対象となる投資家は投資知識やリスク許容度が高いとみなされるケースが多く、そのため、必ずしも公募と同様の詳細な情報開示が行われないことが一般的です。

プライベートプレースメントのメリット

プライベートプレースメントは、一般的な公募と異なり、特定の少数投資家を対象に行われる私募の形式です。

この手法は、特に資金調達を必要とする企業にとって効率的であり、投資家にとっても他にはない独自の投資機会を提供するメリットがあります。

ここでは、プライベートプレースメントによる資金調達のメリットや、企業側・個人投資家側双方にとっての利点を詳しく見ていきましょう。

迅速な資金調達が可能

プライベートプレースメントの大きな特徴の一つが、その資金調達スピードです。

一般に、広く一般に募集する公募と比べて、少数の投資家に向けて行われる私募は迅速な資金調達が可能であり、企業にとっては重要な選択肢となります。

公募に比べて手続きが簡素化されている

プライベートプレースメントでは、少数の投資家が対象であるため、一般的に広範囲に情報を提供し審査を行う公募に比べて、簡素な手続きで済むことが多いです。

多くの情報開示や審査に時間を要する公募に対し、必要な情報のみを開示する形で進行するため、迅速な資金調達が可能となります。

資金調達を急ぐ企業にとって、このメリットは大きく、即時の資金供給が実現できるため、事業拡大や新プロジェクト開始の迅速な対応が可能です。

柔軟な条件で資金調達ができる

さらに、プライベートプレースメントでは投資家に提供する条件や契約内容を企業側の裁量で柔軟に調整できます。

公募では標準的な条件が求められることが多いのに対し、私募では調達額や返済条件、利回りといった要素を柔軟に設計できるため、企業の資金ニーズに応じた条件を設定できます。

企業側が選べる投資家層

プライベートプレースメントは、企業側が資金調達の対象となる投資家層を選定できる点も大きな魅力です。

限られた投資家に限定して募集を行うため、特定の戦略に沿った投資家層とつながることが可能です。

戦略的パートナーシップの構築

企業にとって、資金提供者が単なる資金源にとどまらず、事業の成長を支える戦略的なパートナーとなり得ることもあります。

例えば、事業に精通した専門家や業界での経験が豊富な投資家と協力することで、企業の成長において重要な支援が得られる可能性があります。

プライベートプレースメントを通じて、資金提供のみならず、知識やノウハウの共有も期待できる点は、公募にはない大きなメリットです。

投資家との信頼関係を築きやすい

プライベートプレースメントでは、少数の投資家を対象とするため、投資家とのコミュニケーションが密に行われることが多く、双方の信頼関係が築きやすいのも特徴です。

公募での資金調達では、多数の投資家に分散してアプローチするため、個別の対応が難しくなりますが、私募であれば一人ひとりと信頼を構築しやすく、長期的なパートナーシップへと発展する可能性が高まります。

個人投資家にとってのメリット

プライベートプレースメントは企業にとってのメリットが目立ちますが、個人投資家にとっても特別なメリットがあります。

市場に出回らない独自の投資機会を得られる点や、少数精鋭の投資家向けに構成された案件に参加できるため、通常の公募にはない魅力が備わっています。

公には出ない投資機会の提供

プライベートプレースメントは非公開の募集であるため、一般の市場に出回らない投資機会にアクセスできるのが特徴です。

このため、個人投資家としても、市場の主流からは外れた魅力的な案件に早期に参加する機会が得られることがあります。

特に、上場前の企業や未公開の新規プロジェクトへの投資など、より成長余地の大きい投資先を求める投資家にとって、こうした私募案件は魅力的です。

投資条件の柔軟性

私募の場合、投資条件も柔軟に調整されることが多く、投資家が関与する段階で交渉を行うことが可能なケースもあります。

公募に比べて、利回りや返済条件といった条件面で柔軟な設定が行われるため、個々の投資家の希望に沿った投資ができることがあるのも、プライベートプレースメントの利点です。

長期的な投資機会と安定性の向上

最後に、プライベートプレースメントを通じた投資は、短期的な利益を追求するだけでなく、長期的な成長性を重視する投資家に向いています。

一般に私募の投資案件では、安定性が重視され、企業の成長に対する期待感が大きく反映されているため、堅実なリターンを得ることを目的とする投資家にとっては適した選択肢となります。

また、事業が成長することで、投資先企業の業績が拡大し、最終的には投資家へも安定した利益がもたらされる可能性があります。

プライベートプレースメントは、企業と個人投資家の双方にとって特別な利点を提供する資金調達方法です。

迅速な資金調達や戦略的なパートナーシップの形成を目指す企業、そして成長を見込める案件にアクセスしたい個人投資家にとって、有効な選択肢となるでしょう。

プライベートプレースメントのデメリットとリスク

プライベートプレースメントは、特定の投資家向けに私募で行われる資金調達の手法です。

一般市場には出回らない独自の投資機会を提供するため、企業にとっては迅速で柔軟な資金調達手段となり、投資家にとっても多様なチャンスを提供します。

しかし、こうした私募には一般の公募と異なるリスクも存在するため、慎重な判断が求められます。

ここでは、プライベートプレースメントに伴うデメリットやリスクについて解説し、安全かつ堅実な投資判断を行うためのポイントを探っていきます。

流動性リスク

プライベートプレースメントの大きなデメリットの一つは、流動性の低さに伴うリスクです。

公募のように市場で売買ができるわけではなく、投資家にとって資金の回収が難しい場合があります。

転売が制限されているケースが多い

一般市場で取引されないため、プライベートプレースメントで得た証券や株式は、流動性が低いのが特徴です。

特に、売却を希望する場合にすぐに購入者が見つかる保証がないため、資金が固定化しやすくなります。

また、譲渡が制限されている場合もあり、売却そのものが難しいケースもあります。

こうした流動性リスクは、急な資金が必要な場面で不便さが生じるため、投資前に考慮すべき重要なポイントです。

投資の出口戦略が限定される

流動性が低いことで、プライベートプレースメントでは投資の出口戦略が限定されることが多いです。

通常、上場企業への株式投資では市場での売買を通じて容易に資金を回収できる一方、私募の場合は株式の売却先が限られるため、適切な出口を見つけるのが難しくなります。

そのため、長期的に保有する覚悟を持ちつつ、企業の成長とともに利益を上げるスタンスが必要です。

情報開示が制限されていることによるリスク

プライベートプレースメントは、投資家の数が限定される私募形式で行われるため、一般市場での公募に比べて情報開示が制限されているケースが多くなります。

この点が、投資家にとってのリスクとなることもあります。

企業情報の入手が限られる

プライベートプレースメントでは、公開情報が少なく、一般的に投資家がアクセスできる情報は公募ほど豊富ではありません。

投資判断に必要な情報が限られているため、企業の経営状況や財務状況の詳細が見えにくく、リスクの見極めが難しくなることがあります。

通常の公募では企業の決算報告や業績見通しが公開されますが、私募では個別の問い合わせが必要だったり、開示範囲が限られたりする場合が多いため、慎重にリスクを判断する力が求められます。

透明性の低さによる投資判断の難しさ

公募に比べて、プライベートプレースメントでは情報の透明性が低くなりがちです。

これにより、投資家は不十分な情報に基づいて判断を迫られる可能性が高くなります。

企業の経営方針や財務データが詳細に開示されないと、投資リスクを正確に見積もることが難しく、予期せぬ損失が発生するリスクが増大します。

特に、プライベートプレースメントでの投資先が未上場企業や新興企業である場合には、事業の持続性や業績の安定性に関する判断が不確かなまま投資を行うリスクが伴います。

投資家の数が限定されていることによる影響

プライベートプレースメントは、少数の投資家を対象に募集されることが一般的です。

これは投資機会としては特別なものに見える一方、デメリットとなる側面も存在します。

価格変動のリスクが高くなる可能性

投資家が限定されることで、市場全体の価格変動に比べて、価格が不安定になりやすいリスクがあります。

少数の投資家に依存しているため、資金が集中することでリスクが高まり、もし何らかの理由で大口投資家が投資を引き揚げた場合、価格が急落する可能性もあります。

公募のように広範囲の投資家による安定した需給バランスが確保されない点は、プライベートプレースメントの弱点と言えるでしょう。

投資リスクが偏りやすい

少数の投資家を対象とすることで、投資リスクが偏りやすいという特徴もあります。

特に、プライベートプレースメントでは少数の資金源が重要な役割を果たすため、企業が期待する資金が確保できなかった場合には、運用の難易度が上がります。

また、投資家の層が狭いため、業績が予想通りに伸びなかった場合や予期せぬトラブルが生じた際には、その影響が直接的に投資家へ跳ね返り、資産の減少につながることが考えられます。

まとめ

プライベートプレースメントとは、企業が少数の特定投資家に限定して資金を調達する「私募」の方法です。

公募とは異なり、少人数の投資家層に向けて迅速に資金募集を行えるため、企業側にとっては効率的な資金調達手段とされています。

また、個人投資家にとっても未公開の投資機会にアクセスできるメリットがある一方で、流動性や情報開示の制限といったリスクも伴います。

この手法の特性を理解し、メリット・デメリットを見極めることで、自身の投資戦略に応じた活用が可能になります。

この記事を書いたライター

Action Hub編集部

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