ROEとは?ROEで分かることや上げる方法、注意点についてわかりやすく解説

ROEとは?ROEで分かることや上げる方法、注意点についてわかりやすく解説

投資基礎知識

投資に興味を持っている、もしくはすでに投資している人の中で

「ROEって何?概要やどんなことが分かるのか知りたい。」
「ROEを上げる方法について知りたい。」
「ROEで評価する際の注意点について知りたい。」

このように思われている人も多いのではないでしょうか?

当記事ではこのような悩みを解決していきます!
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

それでは解説していきます!

ROEとは

英語表記の「Return On Equity」の頭文字を取った略称であり、資本を会社が効率よく活用し、利益が上げられているか測定する数値のことです。
別の呼び名で株主資本利益率や自己資本利益率と呼ばれます。

ROEは、株主が見た際に「その企業の株に投資を行い、どの程度効率よく利益が獲得できるか」といった、効率性や収益性を示した指標です。
そのため、最も投資家から重要視されている財務指標です。

よりスムーズにROEを理解するには、自己資本のことを理解しておく必要があります。
はじめに、会社における資本では、「他人資本」と「自己資本」の2つが存在します。

他人資本とは、銀行などの金融機関から借り入れした、返済義務のあるお金のことです。
その一方で、自己資本とは、株主が出資したお金など、返済義務のない資産です。

ROEを求める際は、純利益から自己資本を割ることで求められます。
つまりROEでは、どれだけ効率的に自己資本を使い、利益が獲得できているか分かるのです。

ROEで分かること

ROEとは、株主資本を企業がどれだけ効率的に活かせているかを表す指標ですので、基本的にROEの数値が高い程、効率よく運営できているという意味です。
ROEで分かるのは経営効率であり、数値が高いのは、効率的に限定されている自己資本を運用して、利益が出せているということです。

その反対にROEが低いのは、経営効率が良くないことを表しています。
経営指標でROEを判断する場合、一般的に8〜10%以上の際は優良企業と判断されます。

経済産業省が実際に公開しているデータでは、上場企業の2018年度におけるROEの平均値は、9.4%です。
日本企業の場合、8〜10%以上の自己資本利益率であれば、経営において収益効率性が高いと判断されます。

その一方で、欧州や米国の2018年度における上場企業のROEの平均値は、日本の上場企業平均の9.4%に比べ、圧倒的に高い数値であり、欧州が11.9%、米国が18.4%です。

ROAと異なる点

ROEに似ている指標に「ROA」があります。
ROEとは、企業の自己資本における利益率を示している一方で、ROAの場合、他人資本と自己資本を合わせた総資産に対する利益率を意味している点が異なります。

ROAを求める計算式は、純利益を総資産で割った数値に100をかけたものです。
ROAは簡単にいえば、自己資本に加え他人資本である、金融機関などに融資してもらった負債などを含め、どの程度効率的に企業の持っている全資産を活かしているかを表す指標です。

ROAにおける平均値は業種により異なりますので、それぞれの業種における平均値を理解することにより目安を知ることができます。

ROIと異なる点

ROIは、日本語で投資利益率を意味し、損益計算書と貸借対照表のどちらにもまたがる指標であり、会社の収益性に関して総合的に判断する際に利用される指標です。

投資持分に対し、株主がどのくらい利益を発生させたかという点において、考え方はROEと同様なものの、ROIの場合は決算分析で使う場面に比べ、投資するかどうかといった意思決定の際や、実施した投資はどのくらいの採算性かといった際の判断材料として使われる指標です。

ROEを上げる方法

ROEを上げる方法は、以下7つです。

売上を向上させ利益を増加させる

ROEを計算する方法で、当期における純利益の金額を、新株予約権を除いた純資産の金額で除して算出する方法があります。
同じ純資産の金額の場合、当期における純利益が多くなればなるほど、高い自己資本利益率となります。

当期における純利益は、事業における最終的な年度利益の金額となるため、当期における純利益を増加させるためには、売上を向上させ利益を増加させるか、コストを減らし利益を増加させるかの2パターンです。
売上を向上し、当期における純利益の金額を増加させる方法には、新しい顧客獲得に注力する、顧客のニーズに最適なマーケティングに注力する、客単価を向上させるなどがあります。

総資産回転率を上げる

総資産回転率は、どの程度の売上を使っている資産で上げられるか示した指標です。
数値を上げるためには、無駄な資産を減らしたり、在庫を減らしたりといったことがあります。

在庫を過剰に抱えた場合、資本が固定されるので、効率よく在庫管理を行い、必要なものに限り保有することによって、資産回転率を上げられます。
また、使っていない土地や機器など、活かせていない資産を売却すれば、効率的に資産が管理できる可能性が高いです。

自己資本割合を下げる

少額の自己資本で利益を多く上げる方がROEは高くなるため、利益額が同じ場合、できるだけ少ない自己資本の方がよいでしょう。
自己資本比率をできるだけ下げるためには、金融機関から融資してもらうなど、他人資本比率を上げることが必要です。

具体的には積極的に設備投資や融資を実施し他人資本を増加させることで、ROEを上げられる可能性が高いです。
しかし、負債の他人資本割合が増加した場合、売上が減少し企業の利益率が低下した際に、原資が不足し返済できなくなってしまう可能性が高いため注意してください。

コストを削減する

ROEに関係する当期における純利益を増加させる方法に、コストを削減することがあります。
会社運営では、広告宣伝費や交通費、従業員の給料、事務所家賃といったさまざまなコストが発生します。

コストを過剰に減らしてしまうと、業務に影響を及ぼすこともあるため、はじめに必要なコストと不要なコストをしっかりと整理し、無駄なコストを積極的に減らしていきましょう。
また、必要となるコストに関しても選択肢の見直しが効果的です。

水道光熱費の場合は、利用する電力会社を変更したり、業務の一部を外注したりなど、コストを削減できる方法について検討してみましょう。

自社の株式を保有する

純資産の金額を削減する方法に、自社の株式を取得し保有する方法があります。
自社の株式を購入することで、取得した分の自社株に関しては純資産の金額がマイナスにできますので、自己資本利益率における分母を減らせます。

上場株式であれば、自社の株式を取得することによって、1株における純利益が増加することで、株価が上昇する可能性が高いです。
自社の株式を取得することは、株主からしてもメリットの大きい方法です。

株主への配当金を増加させる

株主への配当金を増加させるのも、ROEを上げる方法です。
基本的に配当金は、企業における内部留保の利益剰余金で支払われます。

株主への配当金支払いが増加することで利益剰余金が減ることにより、純資産の金額も減ります。
ROEは、当期における純利益の金額を純資産の金額で割って求めるため、分母が減少することでROEを上げられる可能性が高いです。

また、株主への配当金を増加させるのは、株主のことをしっかりと考えているというアピールに繋がります。

設備投資を積極的に実施する

設備投資を積極的に行い、自己資本を低下させるのは、ROEを上げる際に有効な手段です。
老朽化している設備がある場合は新しく設備を導入したり、人手が不足している際はシステムを導入し効率化に取り組んだりといった方法があります。

設備投資が成功した際には、利益額増加や売上高増加にも繋がります。
しかし、設備投資は無理やり行おうとすると経営を圧迫してしまうリスクがあるため注意が必要です。

ROEを上げることだけに捉われず、事業の状況や規模に合った設備投資を意識しましょう。

ROEで評価する際の注意点

ROEで評価する際の注意点は、以下3つです。

ROEのみで判断しない

あくまでもROEは採算性や経営効率を判断する方法の一つです。
例えROEの数値が高かった場合でも、自己資本比率が極端に低いことでそのような数値になっている際は、とても経営が安定しているとはいえません。

ROEの数値だけですべてを評価することはできないでしょう。
そのため、ROEだけでなくROAやその他の指標を併用し、企業の経営について多角的に評価することが重要です。

節税するとROEは下がる

節税することで、ROEの数値が下がる傾向にあります。
理由は、税金の支払いを削減する目的で、企業は法人保険などを使用し帳簿上における利益を削減する場合があるからです。

ROEを求める際の分子である利益を減少させるため、ROEは必然的に減少します。
こういった場合、帳簿上における利益を削減しているだけのため、実際の経営状態はROEで示されている状態よりも良好です。

負債が増えるとROEは上がる

負債のような他人資本が増えてしまうことが、必ずしも悪いかというとそうではありません。
他人資本を使うことで財務レバレッジが働くため、総資産が拡大することも多いです。

財務レバレッジは、総資本から自己資本を割った値であり、事業に他人資本を使い自己資本に対し何倍の総資本を投資しているか表した指標です。
この数値が高いことは、総資本の負債割合が大きいため、経営リスクも高くなるものの、反対に過剰に低い際は、積極的に経営を行いないこともあります。
ROEの数値が高い場合でもROAが低い場合は、企業の負債割合が多いことも少なくありません。
ROEや財務レバレッジ、ROAといった財務指標に関しては、企業規模や業界により平均値も変わりますので、同業他社と比べつつ、多角的な視点から検証するのがおすすめです。

まとめ

ROEとは、英語表記の「Return On Equity」の頭文字を取った略称であり、資本を会社が効率よく活用し、利益が上げられているか測定する数値のことです。
ROEで分かるのは経営効率であり、数値が高いのは、効率的に限定されている自己資本を運用して、利益が出せているということです。

ROEを上げるためには、売上を向上させ利益を増加させる、総資産回転率を上げるなどの方法があります。
ROEで評価する際には、ROEのみで判断しないことや、節税するとROEは下がるといった点に注意が必要です。

投資に興味を持っている、もしくは挑戦してみようと思われている方は、ROEの概要やROAと異なる点、ROEを上げる方法、ROEで評価する際の注意点について十分理解した上で検討することが大切です。

この記事を書いたライター

Action Hub編集部

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