貸株とは?定義やメリット・デメリット、おすすめの人についてわかりやすく解説

貸株とは?定義やメリット・デメリット、おすすめの人についてわかりやすく解説

投資基礎知識

投資に興味を持っている人、もしくはすでに挑戦している人の中には

「貸株って何?定義やメリットやデメリットについて知りたい」
「貸株のデメリットを回避するにはどうすれば良いか知りたい」
「貸株がおすすめの人について知りたい」

このように思われている人も多いのではないでしょうか?

当記事ではこのようなお悩みを解決していきます!

記事を最後まで読んでいただければ、上記のお悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

貸株とは

貸株(かしかぶ)とは、証券会社や金融機関が保有する株式を一定期間、一定の手数料を受け取って第三者に貸し出す取引のことです。

通常、信用取引では、買い注文を行う場合は融資を受け、売り注文を行う場合は証券金融会社から株式を借りることが一般的です。

買い注文の場合は融資を受けているため、金利の支払いが発生し、売り注文の場合は借りた株式に対して「貸株料」を支払うことになります。

信用取引を行う際には、金利や貸株料が日割りで計算されて適用されます。

ただし、株式投資では約定日から3営業日後が実際の取引の受渡し日となりますので、週末や祝日が含まれる場合は、その間の金利や貸株料が追加される可能性があるため、この点に留意することが大切です。

貸株のメリット

貸株のメリットは、以下の通りです。

貸株金利がもらえる

貸株は、株式を一時的に貸し出すことで貸株金利を得ることができます。

長期間株式を保有している場合や、配当を受け取る機会に加えて、貸株金利の獲得が可能です。

これにより、保有期間中に得られる利益を増やせます。

貸株金利率は、銘柄によって異なるため、各証券会社のサービスを確認するようにしましょう。

主に空売りを希望する投資家が多い場合、貸株の需要が高まり、貸株金利もそれに応じて高くなります。

この状況は、将来の株価下落が予測される銘柄についての需要が高いことを示しています。

逆に、株式が容易に借りられる場合は、低い金利で貸株を行うことができ、多くの空売りに対応することが可能です。

これは、資金調達の需要と同様に考えられます。

需要が高まると金利が上昇し、需要が低ければ金利も低下するという仕組みです。

一部の場合、貸株金利は10%を超えることもありますが、これは多くの投資家が空売りを行いたいと考えていることを示唆しています。

そのため、株価の下落が予想される銘柄に対しての需要が高まっていると解釈できます。

長期で保有する予定の株式が活かせる

株式を長期で保有しようとする場合、配当や株主優待を受けることができるものの、売却益を得られるのは数年後や数十年後になります。

その間に貸株を行うことで、株主優待や配当以外にも利益を得ることが可能です。

将来的な値上がりを期待しつつ、インカムゲインを増やすこともできるのは、貸株の魅力の1つと言えるでしょう。

貸株を行うことで売却益、配当以外にも貸株金利で利益を得られます。

ただし、金利が低い銘柄だとあまり利益を得られないかもしれません。

また、貸株中の株式は自由に売買できないのではと思われることも多いのですが、貸株中でも自由に売却でき、貸株中も配当を受け取ることができます。

※各証券会社のサービスによって取り扱いが異なるため、確認が必要です。

貸株のデメリット

貸株のデメリットは、以下の通りです。

株主優待は受けられない

株主優待制度は、実際に株式を保有している株主に提供される特典です。

しかし、貸株中は株主の名義が借り手に移るため、株主優待を受けられません。

株主優待は、割引購入や特別なサービス、株主限定イベントへの参加など、株主にとって魅力的なメリットを提供しています。

特に、長期保有の優遇がある銘柄に関して貸株を行う場合は要注意です。

配当金は雑所得扱い

通常、貸株中に発生する配当金は「貸株配当金相当額」として扱われ、これは雑所得として課税されます。

通常の配当金は、株主に直接支払われるものですが、貸株中は株主の名義が借り手に移るため、配当金の権利も借り手に移行する仕組みです。

そのため、配当金が支払われた場合は、借り手が受け取ることになります。

貸株配当金相当額は、申告分離課税や損益通算の対象外となりますので、所得税申告の際には特に留意が必要です。

また、外国株式の場合は、源泉徴収税や外国税額控除などの手続きが追加で必要となることがあります。

全て貸し出した場合、株主総会に出られない

株主総会への参加権は、株主に与えられる重要な権利です。

しかし、すべての保有株式を貸株にすると、株主総会への参加権も失われる可能性があります。

株主総会は、企業の方向性や重要な決定を行う場であり、株主としての権利の行使にもなります。

貸株を行う際には、株主総会への参加権を放棄しなければならないことを理解し、保有株式の一部のみを貸し出すか、貸株の期間を選択することが重要です。

貸株のデメリットを回避するには

貸株の大きなデメリットは、株主優待の受け取りができないことと、配当金が貸株配当金相当額になってしまうことです。

これらの問題を避けるために役立つのが、「株主優待・予想有配優先」サービスです。

※楽天証券のサービス名であり、他の証券会社では呼び名が異なる場合があります。

このサービスでは、株主優待や配当が予想される場合に、株主優待や配当金の権利確定日に貸株を一時的に自動解除します。

これにより、普段は貸株金利を受け取りながらも、権利確定日には株の保有者として登録され、株主優待を受け取ることができ、配当金も「配当金相当額」ではなく実際の「配当金」を受け取れるようになります。

ただし、このようなサービスが利用できるかどうかは証券会社によって異なりますので、具体的なサービス内容や設定については事前に確認してみましょう。

貸株を上手く活用するコツ

貸株を上手く活用するコツは、以下の通りです。

貸株の一部を残して使う

株主優待の一部には、長期保有が条件とされるものがあります。

このような優待は魅力的なものが多いため、貸株を行うことで長期保有条件を満たさなくなるのは勿体ないことです。

貸株の場合、「株主優待優先」を利用すれば、権利確定日には株式を一時的に保有状態に戻すことができますが、長期保有の期間は途切れてしまいます。

このため、長期保有条件を満たすために一部の株式を手元に残しておき、残りを貸し出して利息を得るという方法があります。

これにより、長期保有条件を満たしつつ、優待を問題なく受け取ることが可能です。

信用取引と一緒に使う

「信用貸し」や「信用売り」などの信用取引には、「委託保証金」という担保が必要です。

通常は現金で担保を準備しますが、保有している株式を「代用有価証券」として担保に差し入れることもできます。

この代用有価証券をさらに貸株で活用できます。

ただし、この設定が可能なのは一部の証券会社に限られ、代用有価証券を貸株として利用したい場合は、信用口座を開設しており、かつ貸株を提供している証券会社を選ばなければなりませんので理解しておきましょう。

貸株がおすすめの人

貸株がおすすめの人は、以下の通りです。

低い税率の人

「貸株配当金相当額」と貸株金利を受け取る際、税率が高いとそれだけ多く課税されますが、税率が低い場合は課税額も少なくなります。

確定申告の手続きが必要ですが、この場合は貸株金利を受け取りつつ、総合的に課税する方が有利かもしれません。

株主優待が不要な人

貸株を行うと通常、株主優待を受け取れなくなります。

株主優待を目的としていない場合は、代わりに利息を受け取る方が良いでしょう。

長期投資が目的の人

一部の銘柄は配当を支払わず、会社の成長のために資金を投資することがあります。

この場合、貸株配当金が発生せず、受け取る額も少ないことがありますが、長期的な成長を追求する投資戦略においては、貸株の欠点が軽減され、貸株金利を上手に活用できるでしょう。

貸株でよくある疑問

貸株でよくある疑問を4つ紹介します。

NISA口座での貸株は可能か?

NISA口座で保有している株式を貸株することはできません。

貸株の利用には、証券会社によっては「貸株口座」の開設が必要ですので、利用中の証券会社のサービス内容を確認してください。

貸株をしながら株主優待を受け取る方法は?

貸株をしながら株主優待を受け取るには、以下の2つの方法があります。

一部の株を貸株に回す

例えば、1,000株保有しているうち900株を貸株にすることで、残りの100株分の株主優待を受け取れます。

権利確定日前に貸株を解除する

一部の証券会社では、貸株サービスを利用する際に、権利確定日前に自動的に貸し出していた株を戻すオプションがあります。

これにより、株主優待を受け取ることが可能です。証券会社のサービス内容を確認してください。

貸株を行う最適なタイミングは?

貸株を行う際には、適切なタイミングを見極めることが重要です。

貸株戦略の主な例は、以下の通りです。

高金利期待

株式市場で金利が上昇している場合、貸株料も通常上昇します。

金利上昇が予想される場合には、そのタイミングで貸株を行うことで収入を最大化できます。

株価の下落期待

株価が下落すると、株の貸し手が増える傾向があります。

このような状況では、株価の下落が見込まれるタイミングで貸株を行うことで、より高い貸株料を得られます。

貸株金利はどのくらいもらえるの?

貸株金利は、貸し出す株の種類や数量、市場の需要と供給状況、貸し出し期間によって異なりますが、通常は年利0.1%〜0.2%程度です。

市況によっては、一部の株で年利が10%を超えることもあります。

例えば、2020年の新型コロナウイルスの影響で空売りが増加し、一部の株の貸株金利が急騰した例があります。

貸株を活用することで、保有株の収益性を向上させることが可能です。

まとめ 

貸株とは、証券会社や金融機関が保有する株式を一定期間、一定の手数料を受け取って第三者に貸し出す取引のことです。

貸株のメリットは、貸株金利がもらえることや、長期で保有する予定の株式が活かせることです。

その一方で、株主優待は受けられなかったり、配当金は雑所得扱いになったりといったデメリットも存在します。

そのため、貸株に興味を持っている、もしくは挑戦しようと思われている人は、貸株の定義やメリット・デメリット、デメリットの回避方法について十分理解した上で検討するようにしましょう。

この記事を書いたライター

Action Hub編集部

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