相続税対策に住宅ローンが効果的な理由とは?ローンの債務控除についても徹底解説!

2025.05.19

相続税対策に住宅ローンが効果的な理由とは?ローンの債務控除についても徹底解説!

投資基礎知識

相続税の対策、どのように進めたら良いかお悩みではありませんか?特にまとまった資産がある場合、相続税の負担は大きな問題となります。実は、住宅ローンが相続税対策として効果的な場合があります。本記事では、相続税対策として、住宅ローンが効果的な理由から住宅ローンの債務控除など解説します。また、団体信用生命保険が相続税対策に影響するのかについても触れていきます。

相続税対策と住宅ローンの関係性

ここでは、相続税対策と住宅ローンの関係性について解説します。

相続税は「プラスの財産」から「マイナスの財産(債務)」を差し引いて計算される

相続税とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続した際に課される税金のことです。

この相続税は、相続財産の「プラスの財産」から「マイナスの財産(債務)」を差し引いた金額を基準に計算されます。

「プラスの財産」とは、土地や建物、預貯金、有価証券といった資産です。

一方、「マイナスの財産」となるのは、被相続人が生前に負担していた借入金や未払いの税金などであり、住宅ローンも含まれます。

例えば、相続財産が8,000万円あり、相続税の基礎控除額が4,800万円(法定相続人3人の場合)で、さらに住宅ローン残債が2,500万円あったとします。

この場合、課税対象となる相続財産は、8,000万円から4,800万円と2,500万円を差し引いた700万円となり、課税額が大幅に減少します。

このようにマイナスの財産である債務を差し引くことで、相続税対策ができるのです。

住宅ローンは相続において「マイナスの財産」として扱われる

住宅ローンは、相続税計算では「マイナスの財産」、つまり債務として扱われます。

これは、被相続人が住宅購入のために金融機関から借り入れた資金が、相続財産全体の債務に含まれるためです。

相続税対策として、この債務が「債務控除」の対象になるため、結果的に相続税を減らせます。

例えば、被相続人が亡くなった時点で住宅ローンの残高が多く残っている場合、その金額分が債務控除されることで、課税対象となる相続財産が減少し、相続人の税負担が軽くなります。

ただし、団体信用生命保険(団信)に加入している場合、この仕組みが適用されるかどうかは条件次第です。

団信については別途詳しく解説しますが、一般的には保険金で住宅ローンが完済される場合、残債が消滅するため債務控除の対象外となることを理解しておきましょう。

このように、住宅ローンは相続税対策における重要なポイントの一つです。

自分に最適な住宅ローンを選びつつ、その活用方法を計画することが効果的です。

住宅ローン残高が相続税を減らす「債務控除」とは?

ここでは、債務控除の定義や対象となる条件、減税効果などについて詳しく解説します。

相続税における債務控除の定義

相続税は、相続した財産の総額が一定の基礎控除額を超えた場合に課される税金です。

この際、被相続人が負っていた債務は、相続財産の総額から控除できます。

これを「債務控除」と言います。

住宅ローンも債務に該当し、相続財産(プラスの財産)から差し引くことができるため、相続税負担を軽減できます。

住宅ローン残高が債務控除の対象となる条件

住宅ローンが債務控除の対象となるには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まず、被相続人が住宅ローンを契約しており、死亡時点で返済中であることが前提です。

また、団体信用生命保険(団信)に加入している場合、死亡と同時に残債が保険金で返済されるため、債務控除の対象にはなりません。

この場合、保険金で完済された住宅ローンは相続税計算上の「債務」に含まれなくなる点に注意しましょう。

債務控除の対象となる人

住宅ローンの債務控除を適用するには、被相続人の相続人が適切に手続きを行う必要があります。

具体的には、遺産分割協議を経て相続税の申告時に債務控除を申請しなければなりません。

債務の相続割合は、相続人全員で話し合い、遺産分割協議書に明記しておく必要があります。

なお、連帯債務がある場合は、債務控除を受けられる金額もそれぞれの負担割合に応じて計算されます。

債務控除を受けることで相続税がいくら減るのか

債務控除が相続税に与える影響は、相続財産全体の規模や基礎控除額、法定相続人の数によって異なります。

たとえば、遺産総額が8,000万円、法定相続人が3人いて基礎控除額が4,800万円の場合、債務控除で住宅ローン残高2,500万円が控除されれば、課税対象額は700万円です。

この課税対象額が減ることで、負担する相続税額も大幅に減る可能性があります。

このように、住宅ローンを相続財産に含むことは、相続税対策として非常に効果的です。

団体信用生命保険(団信)が相続税に与える大きな影響

ここでは、団信の具体的な仕組みと相続税との関係性について見ていきましょう。

団体信用生命保険(団信)の仕組み

団体信用生命保険、通称「団信」は、住宅ローンを利用する際に加入する保険の一種です。

この保険に加入していると、ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、残っている住宅ローンの残高が全額保険金で支払われる仕組みです。

そのため、残された相続人には住宅ローンの返済義務が発生しません。

団信の加入は住宅ローン契約時に義務付けられることが多く、特に長期のローンを組む際には安心材料となる保険です。

この仕組みによって住宅ローンを借りた契約者本人に万が一のことがあった場合でも、不動産を引き継いだ相続人が負担を軽減できるのが特徴です。

団信が適用された場合の住宅ローン残高はどうなる?

団信が適用されると、保険金により住宅ローンの残高が全額返済されます。

つまり、相続発生時に住宅ローンの債務がゼロになるため、相続税計算の際に債務控除を利用できなくなります。

結果として、債務控除を想定していた場合には相続税が増える可能性があるため注意しましょう。

一方で、団信により住宅ローンが完済されている場合、不動産そのものが相続財産に含まれるため、その不動産価値に応じた相続税が課税されます。

このように、団信によって債務控除が適用されない点が、相続税対策における住宅ローンとの関係性を大きく左右します。

また、団信未加入時に契約者が死亡した場合、相続人が住宅ローンの返済義務を引き継ぎ、それが債務控除の対象となる場合があります。

そのため、団信の活用や未加入による影響は事前にしっかりと検討することが大切です。

住宅ローンを活用した相続税対策になりうるケース

ここでは、住宅ローンを活用した相続税対策になりうるケースや仕組みについて解説します。

相続した不動産に住宅ローンが残っている場合

相続した不動産に住宅ローンが残っている場合、その住宅ローンの残高は相続財産のマイナス分、つまり債務として扱われます。

この債務は「債務控除」として相続税の課税価格から差し引くことができます。

そのため、不動産の価値が高くても、それに見合う住宅ローンの残債があれば、相続税の支払いを軽減できる場合があります。

例えば、遺産総額が8,000万円、住宅ローンの残債が2,500万円、法定相続人が3人の場合、基礎控除の計算式(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)で算出される控除額は4,800万円です。

この場合、課税価格は8,000万円から基礎控除と住宅ローン残高を差し引いた700万円となり、大きく節税できる可能性があります。

注意が必要なのは、住宅ローンの返済義務そのものが相続人に引き継がれる点です。

すべての相続人で債務をどう分担するか取り決める必要があり、返済の負担が家計を圧迫しないよう、しっかりと計画を立てることが大切です。

【補足】賃貸用不動産購入時のローンと相続税対策

賃貸用不動産を購入する際に組むアパートローンも相続税対策に役立つ場合があります。

アパートローンも住宅ローンと同様に債務控除の対象となるため、不動産が賃貸物件であっても相続財産のマイナス分として扱うことができます。

さらに、賃貸用不動産には「小規模宅地の特例」が適用される可能性があり、土地の評価額が大幅に減額されることもあります。

これにより、相続税の課税対象額が少なくなるため、より効果的な相続税対策ができるでしょう。

ただし、賃貸用不動産には空室リスクや管理負担がある点を理解しておく必要があります。

また、個人の財務計画や家族構成によって最適な対策が異なるため、専門家に相談して慎重に検討することをおすすめします。

住宅ローン以外のローンは相続税にどう影響する?

住宅ローン以外のローンは相続税にどう影響するのでしょうか。

事業用ローン、教育ローン、マイカーローンの場合

相続税の計算では、被相続人が残した借金や債務は「マイナスの財産」として扱われます。

そのため、事業用ローン、教育ローン、マイカーローンなども基本的には相続財産から債務控除として差し引くことができます。

ただし、それぞれのローンが債務控除の対象となるには、被相続人が生前に負担していた正当な債務であることが証明される必要があります。

たとえば、被相続人が事業資金として利用していたローンは、事業資産や収支の記録も参考にされることがあります。

同様に、教育ローンやマイカーローンも、契約内容や返済履歴の確認が必要です。

相続税対策としてこれらのローンを活用する場合、事前に必要な書類を準備しておくことが重要です。

連帯債務・連帯保証がある場合

連帯債務や連帯保証も相続税に影響を与える要素のひとつです。

被相続人が連帯債務者としてローンを借りていた場合、その債務が残っていれば相続財産から控除される可能性があります。

しかし、連帯債務では他の債務者がいるため、実際に控除できる金額は被相続人が負担していた割合に応じる必要があります。

一方、連帯保証の場合、通常は保証人が実際に債務を支払っていない限り控除対象とはなりません。

ただし、被相続人の死亡によって実際に保証債務の支払いが生じた場合は、この負担額が債務控除の対象となる場合があります。

連帯債務や連帯保証の場合は、事前に専門家へ相談し、明確な取り扱いを確認しておくことが相続税対策になります。

滞納しているローンの場合

被相続人がローンを滞納していた場合、その未納額も「マイナスの財産」として扱われることがあります。

たとえば、住宅ローンや事業用ローンの滞納額は、相続財産から債務控除として差し引くことができるケースが一般的です。

ただし、滞納が長期間におよぶ場合や金融機関とのトラブルがある場合は、債務として認められない可能性もあるため注意が必要です。

さらに、滞納中のローンは相続人が引き継ぐ際に返済トラブルの元となることもあります。

このような場合、相続人は金融機関と相談し、返済方法の見直しや債務整理の選択肢を探る必要があります。

相続税対策としては、事前に滞納が発生しないように計画的なローン管理を心がけることが大切です。

住宅ローンと相続税対策に関する見落としがちな注意点

住宅ローンと相続税対策に関する見落としがちな注意点は、以下の通りです。

団信に未加入・保障内容が不十分な場合

住宅ローンを利用する際に重要なポイントの一つが団体信用生命保険(団信)への加入です。

しかし、団信に未加入の場合や保障内容が不十分な場合、相続発生時に問題が生じる可能性があります。

例えば、被相続人がローン返済途中で亡くなった場合、団信に加入していれば保険で残債が清算されるため相続人がローンを引き継ぐ必要はありません。

しかし、団信に未加入だった場合や保障範囲外のケースでは、相続人がそのまま住宅ローンを負担することになります。

これは相続税対策としても大きな影響を与えるため、住宅ローンを検討する際には、団信の加入状況や保障内容をしっかり確認することが大切です。

不動産を共有名義にする場合

相続で取得した不動産を共有名義にする場合にも、注意が必要です。

共有名義にすると、不動産にかかる相続税の負担割合や住宅ローンの返済義務の分担が複雑になります。

共有者全員で支払いをすることになりますが、意見の対立や対応の遅れが発生する可能性があります。

また、共有名義の場合、不動産の処分や利用について各共有者の同意が必要になるため、自由な運用が制限されてしまうこともあります。

そのため、共有名義にする際は事前に相続人同士でよく話し合い、負担割合や利用方針を明確にしておくことが大切です。

相続人全員で債務をどうするか話し合う必要がある

住宅ローンを含む債務が相続財産に含まれる場合、相続人全員でその債務をどう扱うのか話し合うことが大切です。

返済義務を分担して対応するのか、不動産を売却して一括返済するのか、または相続放棄を検討するのかなど、解決方法は様々です。

しかし、これらを曖昧なままにしておくと、後々トラブルになることもあります。

また、相続税対策として債務控除を活用する際にも、相続人全員の理解と合意が必要です。

税理士などの専門家からサポートを受けながら話し合いを進めることで、適切な対策を講じられるでしょう。

まとめ

住宅ローンは相続税対策において非常に重要な役割を果たします。

相続税は遺産総額から基礎控除や債務控除を差し引いた額に課税されますが、住宅ローンを利用することで、この「債務控除」により課税価格を低減できます。

特に、団体信用生命保険(団信)に加入している場合、被相続人の死亡時に住宅ローンが保険金で完済されるため、相続人は住宅ローンの返済負担を免れるという大きなメリットがあります。

これにより、相続人は手元資産を他の目的(例えば相続税の納税資金や生活資金など)に充てやすくなります。

ただし、この場合、住宅ローンは債務控除の対象とはなりません。

また、賃貸用不動産におけるアパートローンも債務控除の対象となる場合があり、収益物件を活用した相続税対策として注目されています。

ただし、団信への未加入や不動産の共有名義、相続人間の話し合い不足など、見落としがちなポイントもあるため、適切な事前準備が必要です。

相続税対策として住宅ローンを検討する際には、自身の状況に適したローンの種類や金利、団信の保障内容をよく確認し、専門家のアドバイスを受けることが大切です。

この記事を書いたライター

Action Hub編集部

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