投資基礎知識
投資に興味を持っている、もしくはすでに投資している人の中で「オプション取引って何?概要や特徴について知りたい。」「オプション取引の種類や活用する方法について知りたい。」「オプション取引で注意する点について知りたい。」と思っている方も多いのではないでしょうか?
当記事では、このような疑問を解決していきます!記事を最後まで読んでいただければ、これらの疑問について解決できると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
それでは解説していきます!
目次
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オプション取引とは
そもそもオプションとは、選ぶ権利のことです。オプション取引は、事前に定めた期日、もしくは期間内に事前に定められた価格で、対象商品を「売る権利」や「買う権利」に基づいて売買を行う取引です。
買い手の立場からオプション取引の具体例を挙げると、「特定の商品を1月1日に、2万円で売る(買う)権利をください」といった契約を結ぶことを意味します。
オプション取引が持つ特徴
オプション取引の特徴は、以下の6つです。
損失が限定される
オプション取引における買い手は、自分が有利だと思う時にのみ権利を行使できます。そのため、予想していた相場に反して日経平均が変動した場合でも、権利を放棄することで、オプション購入に支払ったプレミアムの範囲内に損失を限定できます。
売り手は委託証拠金を用意する必要がある
オプション取引では、買い手側の損失が限定される一方で、売り手側の場合、日経平均株価が変動すると損失が無限に拡大する可能性があります。そのため、損失が発生した際にも決済履行を確保するために、売り手は証券会社を通じて委託証拠金を預託しなければなりません。
レバレッジが使える
オプション取引において「売る権利」や「買う権利」を購入する際に支払う代金はプレミアムと呼ばれます。現物価格に比べて少ない金額のプレミアム支払いにより、大きな利益が見込めるため、レバレッジを効かせることが可能です。レバレッジは「てこの原理」を指し、金融取引においては少額の資金で大きな利益を狙うことを意味します。
買い手は権利の行使を選べる
オプション取引における買い手は、「売る権利」もしくは「買う権利」を行使するか放棄するかを選択できます。権利を行使することで利益が得られる場合は、事前に設定した価格で売買を行います。もし権利を行使することで損失が発生する場合は、権利を放棄し、その時点の市場価格で売買を行います。この場合でも、買い手の損失はプレミアム分のみです。
塩漬けが起こらない
投資において、現在の金融商品の価格が購入時よりも下がっており、売却した場合に損失が発生するため、仕方なく長期間保有する状態を「塩漬け」と呼びます。オプション取引では、権利を行使する期日が設定されているため、塩漬けは一般的に起こりません。塩漬け状態を避けることで、投資資金を有効に活用できます。
相場の状況に関わらず利益を得られる
オプション取引では、多様な投資戦略を使うことにより、原資産の相場が上昇しても下落しても利益を得ることができます。しかし、そのためにはプレミアムが発生することや、価格の変動幅が大きいことで大きな損失が発生する可能性もあるため、十分注意して取引する必要があります。
先物取引との違い
オプション取引は、将来的に売買可能な権利を取引するのに対し、先物取引は将来売買することを約束する取引です。たとえば、株式を1万円で購入する契約を締結した場合、株価が下落した際、オプション取引では「買う権利」の放棄により損失を軽減できますが、先物取引では予定通りに株式を1万円で購入する必要があります。
オプション取引で必要な資金
オプション取引において、売り手は証拠金(担保金)を事前に証券会社に預ける必要があります。証拠金として支払う最低金額は、証拠金を計算するためのシステムにより定められ、1週間ごとに変動します。
利用する証券会社によっては、ウェブサイトなどでシミュレーションを行えるため、事前にそういったサービスを利用すると良いでしょう。また、現金だけでなく、株式などの有価証券を証拠金として差し入れることも可能ですが、その場合は現金で半額以上を支払う必要があるなど、ルールが定められていることが多いです。
取引で損失が発生した場合、証拠金が減少するため、資金に余裕を持って取引することが重要です。
オプション取引の種類
オプション取引には、主に以下の2つの種類があります。
コールオプション
原資産を購入する権利を指します。コールオプションでは、売り手と買い手の2つの立場があり、買い手は権利を行使するか放棄するかを選択できます。もし権利を行使する場合、売り手はそれに応じる必要があります。
プットオプション
原資産を売却する権利を指します。プットオプションでは、売り手と「売る権利」の買い手の2つの立場があります。プットオプションの買い手は、権利を行使するか放棄するかを選択できますが、権利が行使された場合、売り手はそれに応じる必要があります。
これら2つの取引種類は、原資産を購入するか売却するかの権利に基づいて区別されますので、理解しておきましょう。
オプション取引を活用する方法
オプション取引を活用する方法を2つ紹介します。
ターゲットバイイングにより株式を安く購入する
ターゲットバイイングとは、現在の価格よりも低い価格で購入したい株式がある場合、その価格を行使価格としたプットオプションを売却することを意味します。プットオプションの売却により、プレミアムが受け取れます。
行使価格まで株価が下がらなかった場合、オプションは行使されないので、プレミアム分が利益となります。一方で、行使価格より低い価格に株価が下がった場合、オプションが行使され、株式を行使価格で購入します。
相場が今後上昇する予想の場合、保有したい株式を長期的に低価格で購入できることがターゲットバイイング戦略のポイントです。プレミアムの受け取りに加え、長期保有を考えていた銘柄を低価格で購入できるため、長期間保有する際に優れた戦略です。
ただし、大きく株価が下がった場合には、時価に比べて高い価格で購入しなければならない可能性があるため、注意が必要です。
リスクを分散させる
日本株を購入したいが、日銀の利上げなどで相場全体が下落する可能性がある場合、「プットオプションの買い」によって損失を限定する手法が効果的です。「プットオプションの買い」とは、プレミアムを支払って、原資産の価格が下落した際に利益が得られるオプション取引です。
日本株の購入と同時に日経225プットオプションを購入することで、日本株が大きく上昇した場合には利益を得ることができ、逆に大きく下落した場合でも、損失を限定することができます。このように、下落相場が予測される際に有効な手法です。
オプション取引を使った投資戦略
オプション取引を使った投資戦略は、主に以下の3つです。
ストラングル
ショート・ストラングルとロング・ストラングルの2種類があります。ショート・ストラングルは、異なる行使価格の「プットの売り」と「コールの売り」を組み合わせた戦略で、相場が大きく変動しないと予測される場合に有効です。
ロング・ストラングルは、行使価格の異なる「プットの買い」と「コールの買い」を組み合わせた戦略で、相場が大きく上下すると予測される場合に有効です。
ストラドル
ショート・ストラドルとロング・ストラドルの2種類があります。ショート・ストラドルは、同じ行使価格の「プットの売り」と「コールの売り」を組み合わせた戦略で、相場が変動しないと予測される場合に有効です。
ロング・ストラドルは、同じ行使価格の「プットの買い」と「コールの買い」を組み合わせた戦略で、相場が短期的に大きく変動すると予測される場合に有効です。
スプレッド
スプレッド戦略には、バーティカル・ベア・スプレッド、バーティカル・ブル・スプレッド、レシオ・プット・スプレッド、レシオ・コール・スプレッドの4種類があります。
バーティカル・ベア・スプレッドは、行使価格が高い「コールの売り」と、行使価格が低い「コールの買い」を組み合わせて保有する戦略で、相場が下落すると予測されるが、大きく下落する確証がない場合に有効です。
バーティカル・ブル・スプレッドは、行使価格が低い「プットの売り」と、行使価格が高い「プットの買い」を組み合わせて保有する戦略で、相場が上昇すると予測されるが、大きく上昇する確証がない場合に有効です。
レシオ・プット・スプレッドは、行使価格が低い「プットの売り」と、行使価格が高い「プットの買い」を2:1の比率で保有する戦略で、相場が一定価格まで下落し、それ以上は下がらないと予測される場合に有効です。
レシオ・コール・スプレッドは、行使価格が高い「コールの売り」と、行使価格が低い「コールの買い」を2:1の比率で保有する戦略で、相場が一定価格まで上昇し、それ以上は上がらないと予測される場合に有効です。
オプション取引で注意する点
オプション取引で注意すべき点は、以下の2つです。
売り手の場合、損失に制限がない
売り手側は権利が行使された際に必ず応じる必要があります。「売る権利」が行使された場合、対象となる資産価値がゼロになるまで、「買う権利」が行使された場合、損失が無限に拡大する可能性があります。
口座開設の手間がかかる
オプション取引を始めるためには、「先物・オプション取引口座」を開設する必要があります。証券会社によっては、先物・オプション取引口座を開設する際に株式などの金融商品の取引経験や、500万円以上の金融資産を持っていることが条件として設定されている場合があります。
しかし、口座を開設するための申し込みや審査は誰でも可能ですので、興味がある方は試してみると良いでしょう。
オプション取引で発生する税金
オプション取引で収益が生じた場合、雑所得として確定申告する必要があります。税率は20.315%であり、1月1日〜12月31日の間の売買差益を求め、翌年2月16日〜3月15日の間に必ず確定申告してください。
また、損失が生じた場合も、翌年以降における税負担を確定申告で軽減できることがあります。「損益通算」制度がオプション取引には適用されているため、FXや日経225など、オプション取引とは異なる金融商品で利益を得ている場合、その利益と損失を相殺することが可能です。
まとめ
オプション取引は、事前に定めた期日、もしくは期間内に事前に定められた価格で、対象商品を「売る権利」や「買う権利」に基づいて売買を行う取引です。オプション取引には、損失を限定できる、売り手が委託証拠金を用意する必要がある、レバレッジが使えるといった特徴があります。
オプション取引は、将来的に売買可能な権利を取引するのに対し、先物取引は将来売買することを約束する取引という点が異なります。オプション取引では、売り手の場合に損失に制限がないことや、口座開設の手間がかかることに注意が必要です。
オプション取引に興味がある方や挑戦しようと考えている方は、オプション取引の概要や特徴、活用する方法について十分に理解した上で検討することが大切です。
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