投資基礎知識
アクティブETFとは、パッシブETFとは異なる新しい投資スタイルを提供する金融商品です。
インデックスに連動するパッシブETFと異なり、アクティブETFではファンドマネージャーの積極的な運用が特徴で、リターンの向上を目指します。
当記事では、アクティブETFの概要を押さえながら、その運用の特性やパッシブETFとの違いについて詳しく解説します。
市場の平均を上回るリターンを狙うための新たな選択肢として、アクティブETFがどのように役立つのかを理解しましょう。
目次
目次
アクティブETFとは
投資信託や株式に興味がある個人投資家にとって、アクティブETFは新しい投資機会として注目されています。
アクティブETFは、パッシブETFとは異なり、特定の市場指数を単に追跡するのではなく、ファンドマネージャーの裁量で投資銘柄や資産の割合を積極的に調整し、インデックスを上回るリターンを目指すETFです。
ここでは、アクティブETFの基本的な概要と、従来のパッシブETFとの違いについて詳しく解説し、投資判断に役立つポイントをお伝えします。
アクティブETFの基本概要
アクティブETFは、ファンドマネージャーが投資戦略を立てて積極的に運用を行う上場投資信託(ETF)です。
通常のパッシブETFは、特定のインデックス(市場指数)をそのまま追随することで、市場の動向と同じリターンを目指す一方で、アクティブETFでは市場のリターンを上回ることを目標としています。
アクティブETFの運用の仕組み
アクティブETFの運用は、専門のファンドマネージャーが投資判断を行うことで成り立ちます。
ファンドマネージャーは市場の動向を分析し、景気や企業業績の変動を予測しながら、投資する銘柄を積極的に選び出します。
ファンドの目標に応じて、投資対象とする国、業種、企業規模、資産クラスなどもさまざまです。
例えば、成長が期待されるテクノロジー分野に集中的に投資するアクティブETFもあれば、特定の市場リスクを避けつつ配当利回りを重視する戦略も存在します。
アクティブETFの透明性と取引の利便性
ETFの特徴として挙げられる透明性と取引の利便性は、アクティブETFにも引き継がれています。
ETFは株式と同じように市場で売買され、日中に価格が変動します。
この点で、アクティブETFも個別株と同様に、取引時間中であればいつでも市場価格で取引できるため、投資家は希望のタイミングで売買できます。
さらに、ETFは通常のアクティブファンドに比べ、組成や取引コストが抑えられることが多く、個人投資家にとっても利用しやすい金融商品です。
パッシブETFとの違い
アクティブETFとパッシブETFには、運用方法や目標リターンの違いがあります。
パッシブETFは市場全体の動向に合わせてリターンを得ることを目的にしており、インデックス(例えばS&P 500や日経平均株価)に連動する運用を行います。
一方、アクティブETFはインデックスを上回るリターンを得ることを目指しているため、個別銘柄の選択や運用戦略の自由度が高く、リターンの実現に向けた積極的な運用が行われます。
コストの違い
アクティブETFはパッシブETFと比べて管理費や手数料が高くなる傾向があります。
これは、ファンドマネージャーの運用や市場分析に費用がかかるためです。
パッシブETFの場合、インデックスに沿った運用を行うだけなので、比較的低コストで運用が可能です。
一方、アクティブETFはインデックスを上回る成果を目指すため、市場分析やポートフォリオの構築に高度な専門知識とリサーチが求められます。
そのため、投資家が負担する手数料や経費は、パッシブETFと比較すると高くなるのが一般的です。
運用方針の違い
アクティブETFは、パッシブETFと異なりインデックスに縛られることなく、自由な運用が行えるため、ファンドのパフォーマンスは市場動向だけでなく、ファンドマネージャーの投資判断に大きく依存します。
これは、ポートフォリオの構成が市場の変動に左右されるパッシブETFとは異なり、ファンドマネージャーが予測した市場の動向や個別企業の将来性に基づき銘柄を選択できるからです。
したがって、ファンドの運用方針やマネージャーの手腕がリターンに大きく影響する可能性があります。
リターンの期待値
パッシブETFは、市場平均のリターンを目標としていますが、アクティブETFはそれを上回るリターンを目指します。
しかし、目標リターンの高さが魅力的である一方で、運用の成否が必ずしも保証されていないことも理解が必要です。
市場環境が厳しい状況では、ファンドマネージャーがインデックスを上回る成績を収めることが難しい場合もあり、リターンの振れ幅が大きくなるリスクも伴います。
アクティブETFのメリット
アクティブETFは、インデックスに連動するパッシブETFと異なり、より積極的な投資戦略を取ることができる金融商品です。
投資家にとってのメリットは多岐にわたり、市場の平均を上回るリターンを追求するだけでなく、柔軟な運用やリスク分散の選択肢も増えます。
ここでは、アクティブETFがもたらすメリットについて、リターンの可能性、分散投資、そして柔軟な運用の観点から解説します。
リターンを高めるチャンス
アクティブETFの最大の魅力は、市場平均を上回るリターンを目指せる点です。
ファンドマネージャーが積極的な投資判断を行い、選ばれた銘柄や資産配分により、指数に勝る成果を追求します。
ファンドマネージャーの戦略と市場分析
アクティブETFは、ファンドマネージャーが市場や個別銘柄の分析を行い、戦略的に投資先を選定することで、パフォーマンスを高めることを目指しています。
これは、特定のインデックスに沿って運用するパッシブETFにはないメリットです。
市場が急成長する業界や企業を見極めて投資先とすることで、短期的にも高いリターンが期待できます。
また、企業業績や景気サイクル、政策の変化などを予測した戦略が取られるため、アクティブETFはインデックスを上回る利益を追求したい個人投資家に適しています。
魅力的な成長分野への投資
アクティブETFの運用では、テクノロジー、ヘルスケア、グリーンエネルギーといった成長が見込まれる分野に集中投資することも可能です。
市場の変動に応じたリスク管理を行いながらも、成長が期待できる分野を積極的に組み込むことで、通常のインデックス投資では得られないリターンを得られる可能性が広がります。
分散投資とリスク低減の可能性
アクティブETFは、個別銘柄の分散を図ることで、投資家に対するリスクを低減するメリットも持っています。
特定のインデックスに依存しない分散を行うことで、市場の変動リスクを抑え、より安定したパフォーマンスを目指せます。
個別リスクの軽減
パッシブETFではインデックスの構成比率に沿った投資が行われるため、特定銘柄の影響を受けやすい傾向があります。
例えば、特定の大企業がインデックス内で大きな割合を占めている場合、その企業の業績がインデックス全体に影響を与えることがあるのです。
一方、アクティブETFでは、ファンドマネージャーが分散の幅を決定し、特定企業や業界に依存しすぎないようリスク管理を行えるため、個別銘柄のリスクを低減しつつリターンを目指せます。
グローバルな分散と資産の多様化
アクティブETFの運用は、地域やセクターの幅広い分散が可能であり、通常のインデックスには含まれない銘柄や新興市場への投資も選択肢に含まれます。
これにより、国内外の異なる市場環境に分散投資することで、ある市場が下落した場合にも他の市場の成長が補完する仕組みを構築できるのです。
加えて、異なる資産クラス(例えば債券やコモディティ)を含むETFも増えており、これにより個人投資家はより多様な資産にアクセスできるため、ポートフォリオ全体のリスク管理に役立ちます。
インデックスに対する柔軟性
アクティブETFのもう一つの特徴は、市場動向に合わせて柔軟にポートフォリオを調整できることです。
インデックスに連動しないため、急激な相場変動や経済状況の変化に即応できる体制が整っています。
市場変動への即応性
市場環境が悪化したり、特定の業界がリスクを抱えたりした場合、パッシブETFはインデックスに縛られているためにすぐに対応できないことがあります。
しかし、アクティブETFでは、ポートフォリオの構成や資産の割合を変更することで、リスクを回避する調整が可能です。
特に、短期的な市場変動に対応し、機会が生じた場合にはポジションを変更することで、パフォーマンスの安定を図ることができます。
投資テーマの変更が可能
アクティブETFは、インデックスの制約に縛られることなく、ファンドマネージャーの裁量で投資テーマを柔軟に変更できる点も大きなメリットです。
例えば、経済状況が変化し、成長が見込まれる分野が異なった場合でも、アクティブETFは素早くテーマを変更し、他の投資機会を捉えられます。
これにより、経済や業界のトレンドに沿った投資が可能となり、投資の多様化とリスク分散が可能となります。
アクティブETFの柔軟性は、市場の動きに応じた迅速な対応が可能であるため、より高いリターンを追求したい投資家にとって非常に大きな強みといえます。
アクティブETFのデメリットと注意点
アクティブETFは、インデックスにとらわれずファンドマネージャーの裁量で運用が行われるため、魅力的な運用戦略の一つです。
しかし、個人投資家としてはそのデメリットやリスクについても十分に理解する必要があります。
ここでは、コスト面での負担が大きくなりがちな理由と、インデックスに勝てない可能性について詳しく解説します。
コストが高くなりやすい理由
アクティブETFの最大のデメリットの一つは、コストが高くなりやすい点です。
一般的なインデックス連動型のパッシブETFと比較すると、運用にかかる費用が上乗せされることが多いため、投資家のリターンに対してコストの比率が大きくなる傾向があります。
ファンドマネージャーによる積極的な運用
アクティブETFでは、ファンドマネージャーが常に市場を分析し、運用方針に合わせて資産配分を調整する必要があります。
このような積極的な運用には、専門知識と時間が求められるため、運用チームの人件費や管理費用などがパッシブETFに比べて高額です。
個別銘柄の選定やリスク管理を行うには、その分の手間がかかるため、管理費(エクスペンスレシオ)は自然と高くなる傾向にあります。
売買手数料と税金
アクティブETFでは、運用の際に頻繁に売買が行われるため、これにかかる手数料もコストとして発生します。
また、売買益には税金がかかるため、これも実質的なコストとして考えるべき要素です。
特に短期間で頻繁に売買が行われる場合、売買益に対する課税によっても利益が減少する可能性があります。
したがって、アクティブETFの選定時には、どの程度の取引頻度や手数料がかかるのか、運用方法について確認しておくことが重要です。
インデックスに勝てないリスク
アクティブETFは、インデックスを上回るリターンを狙うことが目的とされていますが、実際にはインデックスを下回るリターンしか得られない可能性もあります。
ファンドマネージャーが市場動向を見誤ったり、個別銘柄が予想以上にパフォーマンスを発揮したりしない場合には、思った通りのリターンが得られないリスクが存在します。
市場を正確に予測する難しさ
市場の動きは複雑で、全ての要因を予測することは容易ではありません。
例え経験豊富なファンドマネージャーであっても、予期せぬ経済情勢の変動や政策の変更などが発生すると、予定通りの運用が難しくなる場合があります。
特に市場が急変する際には、パッシブETFのようにインデックスに連動する方が、安定性が保たれやすいため、アクティブETFのリターンがインデックスを下回る可能性も出てきます。
リスクとリターンのバランス
アクティブETFの運用方針においては、ファンドマネージャーがインデックス以上のリターンを目指すため、リスクを積極的に取ることがあります。
しかし、リスクが高まると、その分だけ損失が発生するリスクも大きくなります。
例えば、特定の成長が期待される銘柄に集中投資した場合、その企業の業績が悪化するとファンド全体のパフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性が高いです。
このように、アクティブETFはリスクとリターンのバランスが非常に重要であり、投資家は自分のリスク許容度を把握した上で判断する必要があります。
長期投資の観点でのリスク
短期間で市場を予測するのは難しく、長期的な視点で見た場合、アクティブETFがインデックスを安定的に上回ることは困難です。
多くの研究で示されているように、時間の経過とともに市場全体は上昇していく傾向にあります。
そのため、長期投資を意識するのであれば、市場全体の動きに連動するパッシブETFのほうが、リスクが抑えられることも多いです。
アクティブETFにおいては、特定のセクターや企業に集中して投資を行うケースもあり、特定の投資テーマが時流から外れたり、市場が転換期を迎えたりすると、インデックスに対して大幅に劣る結果となるリスクも考えられます。
このため、投資家としては、自分の投資目的や運用期間を考慮し、慎重に判断することが求められます。
まとめ
アクティブETFは、個人投資家にとっての成長機会とリスクのバランスを提供する金融商品です。
インデックスを上回るリターンを目指し、ファンドマネージャーの裁量で資産運用が行われる一方で、運用コストやリスクも高まる傾向があります。
当記事では、アクティブETFの基本やパッシブETFとの違いについて解説しました。
メリットとリスクを把握し、長期的な資産形成に役立つかどうか、投資方針に合わせた活用方法を検討してみましょう。
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