投資基礎知識
ESG投資に興味を持っている、もしくはすでに投資している人の中で
「ESG投資って何?概要や拡大している理由について知りたい。」
「ESG投資のメリット・デメリットについて知りたい。」
「ESG投資の注意点や始め方について知りたい。」
「ESG投資の株式銘柄の選定方法について知りたい。」
このように思われている人も多いのではないでしょうか?
当記事ではこのような悩みを解決していきます!
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
それでは解説していきます!
目次
目次
ESG投資とは
ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)を意味する言葉です。
つまり、ESG投資は簡単に言うと、環境・社会・企業統治を考え投資することです。
これまで、投資とは企業が公表する財務情報を基に実施されていました。
しかし、国連を中心に、1970年代以降から環境・社会への危機感が高まったことで、イギリスを中心に1990年代頃には社会的責任投資(SRI)が活発化しました。
また、機関投資家は長期間に及んで巨額の資産を運用することもあり、気候変動といった環境問題を考慮し、長期に及ぶ新しい収益の創出機会やリスク管理など、企業の経営状態について持続可能なものかどうか重視されるようになっています。
そこで、国連は2006年に投資家に対し、ESGを投資する際の意思決定プロセスとして考慮するようPRIを策定したのです。
世界においても最大の規模と言われる150兆円を超える資産を運用しているGPIFも、PRIに署名し、PRIに署名する機関投資家は年々増えており、それと同時にESG投資が広がっています。
ESG投資が拡大している理由
ESG投資が拡大している理由は、世界中で環境や社会問題に対する関心が拡大しているからです。
ESG投資は、ただのボランティアや寄付などと違い、自分の資産を形成することを目的に、投資戦略の意味も持っています。
例えば、現在世界では、資源枯渇や気候変動といった深刻な課題を抱えており、消費者の環境問題に対する知識も向上しつつあります。
このような世の中において、自然環境に全く配慮しない生産活動に取り組んでいる企業が存在する場合、企業は消費者の反感を買ってしまい、業績悪化に繋がる可能性が高いです。
これは内部不正や人権問題といった問題と変わりません。
社会的な責任を果たさない企業としてイメージされてしまうことで、経営上のリスクに直結します。
そのため、近年においては、投資する企業を選ぶ際、ESGの非財務情報も確認することで、投資する企業について潜在的なリスクが把握でき、投資するリスクを少しでも減らすための手段として注目を集めています。
ESGと似た言葉との違い
ESGと似た言葉との違いについて、それぞれ解説します。
SDGs
持続可能な社会の実現を目指した目標です。
環境やジェンダー、格差、貧困などに関して、2030年になるまでに果たすべき目標を17の項目を掲げています。
その一方でESG投資は、企業がどんな風にSDGsで掲げた目標を達成するために事業展開を行うのかを基準に投資するものです。
ESG投資では、企業におけるSDGsの達成状況を確認し、後押しするイメージです。
SDGsで掲げる目標を達成するため、企業はサービスや技術の開発に取り組むことにより、ESG投資に取り組んでいる投資家に支持してもらえ、市場における自社の企業価値を向上できます。
その一方で、投資家からすれば、ESG投資で投資する企業の活動停止や株価低下などのリスクを抑えられます。
CSR
CSRは英語の「Corporate Social Responsibility」の頭文字を取った略称であり、社会を構成している一部としての企業の社会的責任を指す言葉です。
企業は持続可能な成長を達成するため、自社の取り組む事業活動が環境や社会に及ぼす影響に関して、責任を取る必要があります。
CSR活動とは、社会的な信頼を、企業を取り巻いている多様なステークホルダーから獲得する取り組みです。
ESGでは、持続可能性について判断しますが、その一方で、CSRの場合は、企業の倫理観や社会的な責任を重視しています。
SRI
SRIは、英語の「Socially Responsible Investment」の頭文字を取った略称であり、企業におけるCSR活動に注目した方法で、日本語では社会的責任投資になります。
ESG投資とSRIは、数量や数値で示される財務を除いた情報を評価する基準に使う投資という面では同じですが、目的や背景が異なります。
SRIは価値観や倫理をメインとしたアプローチ方法であり、特定の価値や基準に基づいて投資する先を選択する仕組みです。
その一方で、ESG投資は、前述の通り、環境と社会、企業統治に対する行いが経済的利益になる視点の方法です。
このように、根底の焦点や考え方が違います。
ESG投資のメリット
ESG投資のメリットは、以下2つです。
社会に貢献できる
ESGに関して配慮している企業の場合、ダイバーシティを考えた経営や、CO2排出量が少ない再エネの開発といった、ESGを意識した経営や事業に取り組んでいます。
そのため、そのような会社に投資することで、企業は資金が集められ、さらに事業を活性化することが可能です。
その結果、企業の事業が拡大し、ESG関連の問題解消にも繋がる可能性が高いです。
そのため、利益を獲得できることに加え、投資家は間接的に社会に貢献することができます。
長期的な資産形成が可能
これまでの株式投資では、一定期間における業績から投資するか判断したり、将来的に価値が高くなりそうな企業を選んだりして投資を行っていました。
現時点においては、業績が伸びているため、その期間における投資成果は良くなる可能性があります。
しかし、企業が問題を発生させたり、社会や環境に対し悪影響となる事業に取り組んだりした場合、著しく企業の価値が下がる場合もあります。
このように、短期的に見れば利益を大きく獲得できるものの、その分大きなリスクも背負うことになるのです。
その一方でESG投資の場合、環境や社会、企業統治を投資する際の判断材料で使用します。
そのため、これまでの株式投資と違い、企業の価値が低下するリスクを下げられます。
大きな利益を短期間で獲得することは難しいですが、長期的に利益を安定して獲得できる可能性が高いです。
そのため、ESG投資は長期目線での資産形成におすすめです。
ESG投資のデメリット
ESG投資のデメリットは、以下2つです。
グリーンウォッシュの存在
グリーンウォッシュは、表面上で見れば環境を意識しているように見えますが、実際には環境に配慮されていない状態のことです。
例えば、実際は異なるものの、環境に配慮している企業だと思わせる広告を出したり、商品・サービスと無関係のエコや自然などをイメージさせる写真を多く使ったりといったことがあります。
この企業は、環境に配慮し地球環境に優しい事業に取り組んでいるのだと、誤って認識し投資してしまった場合、環境に配慮した事業を応援したいにも関わらず、そのような見せかけだけの企業を支援してしまいます。
環境に優しそう、グリーンが付いているから環境に良さそうなど、イメージで判断せずに、しっかりと企業のことを調べてから投資することが大切です。
短期で見たリターンが少ないことがある
大きな利益を短期間で獲得できるかを意識し投資せずに、環境・社会問題に対し取り組もうとしているかといった、成果が短期間で出ない、もしくは成果が出ても見えにくい部分を重視するのがESG投資です。
そのため、前述したように、短期的な利益は少なくなる可能性が高く、長期間の運用に向いている投資です。
ESG投資の注意点
ESGについて意識することで、企業の利益や業績向上が見込めるとされているものの、業績とESGの関係に関して、統一的な見解は専門家の間でも未だ出ていません。
対象範囲や分析手法、期間などが異なる場合、例え同企業の分析を行っても、結果が異なる場合もあります。
また、ESGを意識した場合、どうして業績が上がる可能性があるのかといった、根本的要因も分かっていません。
本来、ESG投資は長期的な利益を考慮したものですので、今後さらに長期的な視点を持ち分析や検証に取り組む必要があります。
ESG投資の始め方
ESG投資の始め方は、主に以下3つです。
株式投資
企業が発行する株式を購入し、売却差益や配当金などの獲得を狙った方法です。
ESG投資する際は、ESG指数や事業方針、企業理念といったことを参考に、ESGに貢献する企業が発行している株式を優先して購入します。
持続可能な社会の実現に向けた一つの手段でもありますので、投資先の企業が取り組む事業活動を支援することを考えると、短期売買を株価変動などにより繰り返さず、長期投資を行うのがおすすめです。
しかし、企業の経営状況や株価の変動など次第では、損失となる可能性もありますので、しっかりとリスクをコントロールする必要があります。
投資信託
資金を投資家が出し合い、その集めた資金を専門家が運用する仕組みです。
どんな銘柄に対し投資するのかを確認してから商品を選べます。
自分で個別銘柄を売買するような資産運用の手間がかからず、少ない資金から投資できるため、投資に時間や資金をあまりかけられない、投資の知識を勉強している最中の方でも投資を始められることがメリットです。
しかし、投資信託に限ったことではありませんが、損失となってしまうこともあるため理解しておきましょう。
債券投資
企業が発行している債券を購入する方法です。
債券購入は、分かりやすく言うと、お金を企業に対し貸すことを意味します。
債券を購入した場合、定められた一定の期間利息をもらった後に、債券の購入にかかった元本を返済してもらえます。
一般的な傾向に、株式投資と比較し債券での投資は低リスクであり、安定した利益を得られることがメリットです。
しかし、債券の発行元である企業の経営状況により、償還や利息がもらえない状態になってしまう可能性もありますので、理解しておきましょう。
ESG投資の株式銘柄の選定方法
ESG投資の株式銘柄の選定方法は、以下の通りです。
ESG情報を確認する
はじめに、ESGレポートや統合報告書といった、企業のウェブサイト上でESG情報を確認しましょう。
信頼できる情報ではありますが、企業がアピールしたい部分をメインに載せている場合や第三者からの判断がないか注意して確認してください。
ESG投資信託が保有している銘柄から選定する
それぞれの証券会社が取り扱っているESG投資信託を利用する方法です。
それぞれの証券会社のホームページでは、保有している銘柄が確認できるため、個人の銘柄を選定する際に活用できます。
少し前の保有しているファンド状況となっていることもありますので、データが最新のものか確認してください。
ESGスコアやESG企業ランキング上位を選ぶ
ESGスコアは、報道機関や金融関連企業が求めた二次情報です。
プロ目線での格付けやスコアを比べ、参考にできます。
ESG企業ランキングは、企業におけるESGの活動を第三者評価機関が評価したランキングです。
日本国内であれば日本経済新聞社、海外ではアメリカのMSCI ESGリサーチなど、さまざまな評価機関があり、ESG銘柄を選ぶ際に個人投資家であっても利用できます。
しかし、評価基準が統一されていないことには注意が必要です。
理由は、評価機関によって、独自の審査基準が設定されていることや、企業の情報開示に関してそれぞれの会社でバラつきがあるからです。
まとめ
ESG投資は簡単に言うと、環境・社会・企業統治を考え投資することです。
ESG投資が拡大している理由は、世界中で環境や社会問題に対する関心が拡大しているからです。
ESG投資のメリットには、社会に貢献できることや、長期的な資産形成が可能なことがあります。
その一方で、グリーンウォッシュが存在したり、短期で見たリターンが少ないことがあったりすることがデメリットです。
ESG投資に興味を持っている、もしくは取引しようと思われている方は、ESG投資の概要やメリット・デメリット、選定方法について十分理解した上で検討することが大切です。
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