優先株とは?種類やメリット・デメリット、注意点についてわかりやすく簡単解説

2024.07.07

優先株とは?種類やメリット・デメリット、注意点についてわかりやすく簡単解説

投資基礎知識

優先株に興味を持っている、もしくは保有したり取引したりしている人の中で

「優先株の概要や種類について詳しく知りたい」
「優先株のメリットやデメリットについて知りたい。」
「優先株の注意点、優先株以外に資金を調達する方法について知りたい。」

このように思われている人も多いのではないでしょうか?

当記事ではこのような悩みを解決していきます!
記事を最後まで読んでいただければ、上記悩みについて解決できるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

それでは解説していきます!

優先株とは

優先株は、普段株式市場で取引を行っている普通株などと比較し、その名の通り優先的な地位を持つ株式のことです。
普通株との大きな違いは、配当金額と議決権があるかどうかです。

優先株の方が普通株に比べ、配当を多くもらえるものの、その分議決権がありません。
そのため、株主総会に出席することはできないため注意してください。

株主総会に参加できるかどうかより、配当をできるだけ多くもらえた方が嬉しいという方であれば、普通株ではなく優先株を購入するのがおすすめです。
このように優先株の特徴を聞いた際、社債と同じだと感じる方も多いですが、表面上は似ているものの、優先株と社債は全く別物です。

株式は会社にとって、返済する義務がない自己資金として扱われる一方で、社債の場合、返済する義務がある借金として扱われます。
そのため、会社からすれば、社債の方が返済する優先順位は高くなり、株式はその次というような扱いになります。

優先株の種類

それぞれの種類について、詳しく解説します。

参加型優先株式

優先配当金だけでなく、普通株式分の配当金も追加でもらえる株式のことです。
高いコストが株を取得するのに必要になる一方、配当金が二重で受け取れるメリットがあります。

上記仕組みにより分配が多くもらえるため、インカムゲインを得たい投資家から人気を集めており、日本でも多い方式です。

非参加型優先株式

優先株式であらかじめ定められた優先分配に限り受けられる株式です。
参加型優先株式と異なり、普通株主と同様の配分は受けられません。

例えば、会社清算額が1,000万円の場合、非参加型優先株式で優先配分権100万円を持っている際、優先分100万円が受け取れます。
その一方で、非参加型優先株式の場合、どれだけ比率がある場合でも追加で受け取れません。

万が一、比率が30%の場合は、優先分を受け取らずに、普通株式の株主と同様の270万円を受け取った方が多く資金を受け取れます。

制限参加型優先株式

参加型優先株式の中でも、一部において制限のあるものです。
優先配当金の受け取り後、普通株式の分の追加配当金は受け取れます。

しかし、あくまでも一部が受け取れ、普通配当の金額に対し、一定比率が設定されているか、上限額が設定されています。

このような仕組みから、参加型と非参加型の間のポジションともいえる方式です。

累積型・非累積型

累積型は、ある事業年度で定められている優先配当金が、すべて支払われなかった際に、不足している分に関して、翌期以降に繰り越され累積させる方式です。
その一方で、非累積型では、不足している分が繰り越されない方式で、アメリカで採用されていることが多いです。

優先株のメリット

優先株のメリットについて、企業・投資家の視点から解説します。

企業

企業では、優先株の対価で獲得した資金は資本金として利用できるので、自己資本比率を向上できるメリットがあります。
融資してもらいたいなど、資本金を向上する必要がある場面を考えた際、優先株を発行することを一つの選択肢として覚えておきましょう。

議決権が分散した際に、普通株であれば経営に干渉してしまうデメリットがあります。
それによって自分の思うように経営ができず、買収されてしまう可能性もあります。

しかし、優先株の場合、議決権が制限されるため議決権が分散されません。

また、資金調達の手段として使いやすいこともメリットです。
株式会社が資金を調達する手段として、株式発行があります。

企業が返済義務のない資金である株式は、経営状況に影響がなく、買収となる可能性を下げられます。

投資家

投資家には、投資リスクが避けられる効果があることがメリットです。
経営が悪化した際に、普通株の場合は資金が戻らず損してしまう可能性があります。
その一方で、一定の優先配当額が保証されていることは、投資する上で非常に重要なポイントと言えるでしょう。

また、参加型であれば、二重で配当金を受け取れ大きくリターンが増やせます。

優先株のデメリット

優先株のデメリットについて、企業・投資家の視点から解説します。

企業

優先株は日本で浸透しておらず価格変動が少ないため、買い手がなかなか見つけられない可能性があります。

また、企業のイメージが下がるリスクがあります。
資金を調達する手段で、会社内部にとっては魅力の多い優先株発行ですが、内部ではなく外部から見た場合、資金繰りが困難な状況という、悪いイメージに繋がる可能性も0ではありません。
ヨーロッパやアメリカでは、一つの投資方法として認知されていますが、日本では浸透していない問題があります。

定款変更や特別な手続きが必要になり、手間がかかることも優先株のデメリットです。
株主総会と別で種類株主総会を開催する必要もありますので、普通株と比較し面倒に感じる部分も多いです。

投資家

優先株は、一般市場で売買が行われる銘柄数がとても少なく、全体的に見ても流動性が低い傾向があります。
また、未上場企業の優先株は、例え経営状態が良好の場合でも、劇的に株価が上昇する可能性が低いことから、売買での利益獲得が困難であり、短期間における売買の繰り返しを念頭に置いている投資家にとって不向きです。

しかし、このような優先株が持つ特徴は、ネガティブニュースや利益減少などが原因の大幅な株価の下落が発生しにくいという利点でも考えられます。

優先株の中には、権利保護となっているものもありますが、議決権が基本的に制限されているのもデメリットです。
議決権が制限されている場合、例え投資先の企業経営が傾いてしまっても、経営に介入できません。

そのため、権利を株主として自由に行使したい場合は、議決権が保護された株式の方が向いています。

優先株の注意点

優先株の注意点は、以下3つです。

株主と協議して年間配当率や配当分配、受け取り方法を定める

優先株式を発行する場合、年間配当率、配当分配、受け取り方法について、既存の株主と協議し決めなければなりません。
年間配当率は、発行している会社により異なります。

基本的に普通株式における配当率に対し、約3〜10%上乗せすることが多いです。
株式市場で優先株式が取引されることは少なく、伊藤園などは優先株式を上場していますが、配当率は普通株式に比べ1.25倍となっています。

優先株式における配当を分配する方法では、参加型と非参加型、制限参加型の主に3つがあります。
配当メリットをできるだけ高くしたいのであれば参加型、配当メリットが減る代わりに株価を抑えたいのであれば非参加型を発行しましょう。

優先株式による配当を受け取る方法では、累積型、非累積型の2つがあります。
累積型の方が一般的に配当は多くなるため、配当コストも考慮しどちらを発行するか判断しましょう。

議決権制限範囲を確認する

優先株式設計での議決権制限範囲を確認するのも大切なポイントです。
優先株式では、さまざまな制限が設けられます。

中でもどこまで議決権を制限するのかは非常に重要です。
理由は、議決権制限範囲により、株主が経営に介入できる度合いが大きく異なるからです。

仮に議決権で制限を設けない場合、意思決定が遅れてしまったり、優先株式の持ち株割合が少ない株主の意見が通ったりしてしまう可能性があります。
このような場合、自分の思い通りに経営が進められなくなってしまうため、株主総会決定事項について適用範囲を決めておきましょう。

制限を設定する際は、議決権を株主総会で行使できないこと、議決権を行使できる条件について記載するのがおすすめです。

その一方で、スタートアップやベンチャー企業の場合、議決権制限範囲を敢えて設定しないことも多いです。
理由は、経営者が投資家から経営アドバイスをもらいたいと考えているからです。
自社の経営状態により、最も適した議決権制限範囲を設定することが大切になります。

普通株式に換える場合はコストやタイミングに注意

事業再生や上場などで、普通株式に優先株式を転換する場合があります。
転換するタイミングやコストは、十分注意する必要があります。

優先株式における株主が、普通株式に転換するための条件は、配当に比べ議決権を獲得したい、上場企業であれば普通株式を市場で取引したいといったことがあります。
普通株式に優先株式を転換する条件については、最適な設定にすることが大切です。

上場などにより、強制的に転換が求められる場合だけでなく、転換請求権を株主が行使した際の対応についても、しっかりと定めておく必要があります。

また、普通株式に比べ、優先株式は配当コストが高いため、利益を配当が圧迫しないよう注意が必要です。
しかし、配当コストをできるだけ下げようと、優先株式の配当を低くしすぎてしまうと、株主は優先株式を持つ意味がありません。

そのため、優先株式の配当を検討する場合、株主のメリットなどについても十分考慮したうえで、最適なコストにする必要があります。

優先株式を普通株式に転換するタイミングは、転換目的で変わってきます。
例えば、上場する目的で普通株式に転換する場合は、上場前に転換するのがおすすめです。
しかし、上場するからといって、優先株式を転換しなければいけないということはありませんので、転換せずに優先株式でも審査を受けられます。

優先株以外に資金を調達する方法

優先株以外に資金を調達する方法は、以下2つです。

金融機関に融資してもらう

金融機関に資金を融資してもらう方法です。
銀行と良好な関係を構築する際、将来を見据え融資が受けられることも度々あります。

借り入れ前に行われる審査を通過し、完済するまでの期間は利息の生じる返済義務があります。
計画を慎重に進めることによって、倒産するリスクを下げ、融資してもらうことが可能です。

エンジェル投資家や企業に出資してもらう

エンジェル投資家や企業に出資してもらう形の場合、返済義務はありません。
出資元次第では、良きビジネスパートナーとなる場合もありますので、創業初期であれば特に積極的に検討したい資金調達方法です。

しかし、出資比率次第では、会社の経営権を握られてしまうリスクも存在します。
自社株を多く保有されてしまった場合、経営自由度が下がってしまうため、機動的に経営することが難しくなる可能性が高いです。
出資元を見つけるハードルも高いので、出資を目指す際は、できるだけ綿密なプランを立てる必要があります。

まとめ

優先株は、普段株式市場で取引を行っている普通株などと比較し、優先的な地位のある株式のことです。
優先株の種類には、参加型・非参加型・制限参加型・累積型・非累積型があります。

優先株は、企業にとっても投資家にとってもメリット・デメリットが存在するため、どちらのメリット・デメリットについても理解することで、優先株の理解をより深めることが可能です。

優先株には、株主と協議して年間配当率や配当分配、受け取り方法を定める、議決権制限範囲を確認するといった注意点も存在します。

優先株に興味を持っている、もしくは保有しようと思われている方は、優先株の特徴や種類、メリット・デメリットについて理解した上で検討することが大切です。

この記事を書いたライター

Action Hub編集部

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