投資基礎知識
投資に興味を持っている方や、すでに投資を始めている方の中には「TOPIXって何?概要や日経平均株価との違いについて知りたい。」 「連動するインデックス投資のメリット・デメリットについて知りたい。」と思われている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、そうした疑問を解消していきます。最後までお読みいただければ、上記の疑問が解決できるかと思いますので、ぜひお付き合いください。それでは、解説を始めます!
目次
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TOPIXとは
TOPIXは、英語の「Tokyo Stock Price Index」の頭文字を取った略称であり、東証株価指数のことです。東京証券取引所に上場している銘柄を対象に算出および公表される株価指数を指します。
日経平均株価と同様に、日本において代表的な株価指標の一つです。
TOPIXの計算式
TOPIXは東京証券取引所で算出され、1968年1月4日の株価に発行済の株式数をかけて求められた時価総額を基準指数の100ポイントとして、この数値を用いて算出されます。表示単位はポイントであり、算出時の時価総額を1968年1月4日の時価総額で割った数値に100を掛けたものがTOPIXの数値となります。
この数値によって、基準時からポイントが増減しているかを把握できます。実際の市場で取引される「浮動株」と呼ばれる流通株の時価総額を基準とする、浮動株時価総額加重型という手法が採用されています。
日経平均株価とは異なり、TOPIXは時価総額の大きい銘柄に左右されやすく、日本株式市場全体の動きにも影響されやすい特徴があります。
銘柄の選定方法
TOPIXは、各市場から選ばれた約2,160にも及ぶ銘柄によって構成されています。
現在は市場編成後の移行期間中であり、銘柄が見直されています。
移行期間は2022年の10月末から2025年の1月末まで設定されており、流通株式の時価総額が100億円に満たない銘柄については、「段階的ウェート低減銘柄」と判断され、構成比率を四半期ごとの最終営業日に調整し、組み入れ比率を見直す方針です。
判定はすでに施行されており、評価を基準に2025年の1月末までに改善が確認できない場合はTOPIXから完全に除外されます。
なお、移行期間中の新規銘柄については、プライム市場に新たに上場する銘柄に限り、TOPIXに追加される仕組みです。
日経平均株価との違い
TOPIXの最も大きな特徴は、東証1部におけるすべての銘柄の時価総額を基準に指数が求められている点です。
時価総額で上位に位置する企業には、トヨタやNTT、NTTドコモなど、国内向けサービス企業や輸出企業などさまざまな企業が含まれます。
TOPIXは東証1部のすべての銘柄の時価総額によって構成されており、たとえ時価総額が大きな企業であっても、個別銘柄の価格変動がTOPIXに及ぼす影響は限られています。
つまり、TOPIXが大きく変動した場合には、日本経済全体が変動したことを意味します。
一方で、TOPIXと異なり、日経平均株価は東証1部に上場している企業の中から225銘柄の株価平均を求めた指標です。
日経平均株価の場合、TOPIXとは異なり、東証1部のうち225銘柄に限定されるため、大型株の株価が急落または急騰した際には平均株価に影響を及ぼします。
日本経済全体の動きを示すTOPIXに対し、日経平均株価は日本の主要企業の株価変動が反映されるため、日本経済の先行きを示す指数ともいえます。
TOPIXは、前述したように、日本経済全体の動向を大まかに把握したり、日本株全体の下落や上昇基調を把握したりする際によく使われます。
しかし、TOPIXの数値のみでは経済状況を詳細に知ることはできませんので、日経平均株価など他のデータも併用して分析することが推奨されます。
インデックス投資のメリット
株式市場では、ベンチマークであるTOPIXや日経平均株価が「指標」「指数」として常に意識されています。
「指標」「指数」を英語で表すと「インデックス」となります。
日本における代表的なインデックスにはTOPIXや日経平均株価があり、海外ではナスダック総合指数やS&P500種株価指数、NYダウなどが挙げられます。
これらの特定のインデックスに連動して同様の利益を得ることを目指して運用する手法を「インデックス投資」と呼びます。
インデックス投資は、投資商品の名前ではなく、投資を行う際の運用方法の一つです。
インデックス投資は、主に投資信託で実施されます。
インデックス投資で運用されている投資信託を「インデックスファンド」と呼び、プロのファンドマネージャーが投資家から集めた資金を運用し、その運用益を投資家に還元する仕組みです。
インデックス投資のメリットは以下の5つです。
リスクが抑えられる
投資には必ずリスクが伴いますが、リスクを回避する方法についても考えておく必要があります。
リスクをできるだけ抑えるためには、一つの銘柄に集中せず、複数の銘柄に幅広く投資を行う分散投資が推奨されます。
インデックスファンドは、指数に連動する仕組みで複数の銘柄に分散投資する効果があるため、リスク分散を容易に行えます。
少額から始められる
個別銘柄に投資する際、通常は100株単位で購入する必要があります。
そのため、株式を購入するにはある程度の資金を用意しなければなりません。
しかし、インデックスファンドであれば少額から投資可能で、積立購入もできます。
証券会社によっては、100円程度の少額から購入可能な場合もあります。
投資による利益に対する税金の優遇措置として、つみたてNISAなどがあり、このような制度でもインデックスファンドを購入できます。
対象商品の中には、購入手数料がかからず、かつ一定水準以下の信託報酬が設定されている銘柄もあるため、初心者でも気軽に購入できます。
運用コストが安い
投資信託を売買したり、保有したりする際は、コストとして信託報酬や購入時手数料といった手数料がかかります。信託報酬は、投資信託の管理や運用を実施してもらうための手数料であり、保有している期間中、継続的にかかるコストです。
購入時手数料は、投資信託を購入した際に販売会社に対して支払う手数料のことです。アクティブファンドと比較して、インデックスファンドには手数料が安いメリットがあります。
インデックスファンドの場合、購入時手数料がかからないノーロード投資信託と呼ばれる商品も多いです。信託報酬も低く設定されているため、長期的に資産を運用する場合でもコスト削減が可能です。
初心者でも安心
株式投資に挑戦する際、どの銘柄を購入するか選ぶのは簡単なことではありません。投資について知識のない初心者であれば、特に銘柄選定に迷う人が多いかと思います。
その中で、インデックスと連動する設計になっているインデックスファンドは、初心者から見ても分かりやすい商品です。そのため、インデックスファンドを選ぶことで、市場全体に対し投資を行うのと同じ効果が期待できるので、経験や知識が少ない初心者でも銘柄選定に迷わずに済みます。
高いリターンを得られる可能性がある
株価指数に連動するシンプルな運用方法であるインデックス投資は、銘柄の入れ替えといった売買の頻度も投資の専門家が実施するアクティブ投資と比較して少ないため、コストを安く抑えられます。結果的に、高いリターンが得られるインデックス投資もあります。
インデックス投資のデメリット
インデックス投資のデメリットは以下の4つです。
短期間で利益を出すのが困難
インデックス投資で値動きを活かし売買を実践する短期的な運用を行った場合、利益を得るのは難しいでしょう。極端な動きをインデックスがすることはほとんどありません。
NYダウや日経平均株価といった株価指数は、個別銘柄と比べ、価格の変動幅は少ない傾向です。リーマンショックやコロナウイルスといった世界的に株価が下落した場合は、NYダウや日経平均株価も大きく価格が変動するものの、日常的に大きく動く可能性は低いです。
短期的に運用した場合、投資した資金が減ってしまい元本割れとなるリスクも高くなります。そのため、長期的に積み立てつつ運用を行うのがインデックス投資の基本です。
元本割れになるリスクもある
インデックス投資の特徴としてコストが低いことがありますが、決してリスクが全く存在しないわけではありません。国債や定期預金のように、元本が保証されている投資商品ではないため、運用成績が悪い場合は価格が減少し、元本割れになる場合も当然あります。
しかし、NYダウ平均やTOPIX、日経平均株価などの多くの株価指数は、増減はあるものの全体的に見れば上昇傾向です。米国株の指数においては、特に右肩上がりの傾向が分かりやすいので、長期的な運用では米国株におけるインデックス投資がおすすめです。
高いリターンを獲得できる可能性は低い
インデックス投資の場合、選定した指数を超えるリターンは得られない場合が多いです。例えば、連動する指数が日経平均株価の商品であれば、日経平均株価と連動する成果を目指すことが前提で運用されるため、日経平均株価を超える成果は期待できません。
個別の銘柄に投資を行う通常の株式投資であれば、企業のポジティブなニュースや業績により価格が大きく値上がりすることもあり得ます。しかし、インデックス投資の場合、複数の企業に対して分散して投資する形になるため、1つの企業がどれだけ変化しても大きく利益に直結することはありません。
インデックス投資には、リスクが低い分、リターンも少ないという特徴についてしっかりと理解しておきましょう。
運用するのにコストが必要
インデックス投資の場合、その他の投資信託と比較して、運用するのにかかるコストが低く設定されています。しかし、低く設定されているとはいえ、必ず毎日コストは発生していますので、運用する期間が長ければ長いほどコストもかかります。
長期間株式を保有したとしても、コストの発生しない投資を目指して株式投資を選ぶ人も少なくありません。株式投資であれば、インデックス投資のような投資信託と違い、信託報酬といった維持費が必要ありません。
しかし、インデックス投資と比較すると、個別の株式は高い利益が期待できる分、リスクも高くなるため、より慎重に投資に取り組む必要があります。
まとめ
TOPIXは、英語の「Tokyo Stock Price Index」の頭文字を取った略称であり、東証株価指数のことです。東京証券取引所で上場している銘柄を対象に算出および公表される株価指数を意味します。
インデックス投資のメリットは、リスクが下げられることや少額から始められること、運用コストが安いことなどです。その一方で、インデックス投資には、短期間で利益を出すのが困難、元本割れになるリスクもあるといったデメリットも存在します。
そのため、投資に興味を持っている、もしくは取引しようと思われている方は、TOPIXの概要や日経平均株価と異なる点、インデックス投資のメリット・デメリットについて十分理解した上で検討することが大切です。
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